ミッション・インポッシブル
MISSION IMPOSSIBLE(1996年/アメリカ)
監督 ブライアン・デ・パルマ
出演 トム・クルーズ(イーサン・ハント)
ジョン・ボイト(ジム・フェルプス)
ジャン・レノ(クリーガー)
エマニュアル・べアール(クレア)
エミリオ・エステベス(ジャック)
ヴィング・レイムス(ルーサー)/他
あのお馴染みのテーマ曲にのって、90年代半ば、映画として新たな復活を遂げた『スパイ大作戦』。タイトルも原題通りとなり、主役は、製作にも関わったトム・クルーズ。そして、監督は、サスペンス映画色のイメージが強いブライアン・デ・パルマ。彼は、以前にも「アンタッチャブル」などでアクション作品を手掛けていますが、まさかこのような作品を手がけるとは思ってもみませんでした。
内容はと言うと、テレビシリーズのようなチームワークと巧みな技術を武器にして、単に作戦を成し遂げようとするものではなく、オープニングからIMFメンバーの壊滅と言うシッョキングな展開から始まり、二重スパイの疑いをかけられた主人公イーサン・ハントの葛藤を主としたサンスペンスタッチなもので、デ・パルマ色の強さを感じさせます。しかし、初期シリーズをご存知の方は、何か物足りない気がしたのではないでしょうか?私は、初期の『スパイ大作戦』をまだ見たことがなく、『新スパイ大作戦』世代なのですが、やはり、5人のメンバーのチームワークによってスマートな作戦が展開されるテレビシリーズのようなタッチを求めていたのでは?それによって不可能な作戦を実行可能にしてしまう所にこのシリーズの面白さがあったと思うのですが・・・。とくに、トム・クルーズ演じるイーサン・ハントの独り舞台になっていることが、最大の疑問符になってしまうところですね。しかし、身内に裏切り者がいるとなどと言ったドロドロとした陰謀めいた内容になってしまうのは、やはり90年代のスパイ映画を表現する一つ特徴になっていたのかもしれません。確かに東西冷戦のなくなった今、スパイ映画を成立させる事は非常に困難な状況ですが・・・。しかしながら、フェルプス役のジョン・ボイトや、リュック・ベッソン映画の常連で一際癖のある俳優のジャン・レノらが脇を固めるキャスティングの妙な新鮮さがいい味を出していたような気がします。
この映画の最大の見所は、データを盗み出すため、CIA本部内のコンピュータ・システムターミナル室に天井からワイヤーを蔦って入り込んだハントの危機迫る作戦シーン。音声監視システム、室温変化感知システム、床の圧力感知システム、通気口のレーザーネットなどなど厳重な警備システムとの息迫る攻防。システムをロックダウンさせる前にデータを奪い取らなければならないが、外からは、技術官が今か今かと近づいてくる・・・。見ているこちらまで汗がみなぎってきます。もう一つは、時速300km以上で走るフランスの高速列車TGV上での緊迫するアクションシーン。CGであるものの、トンネル内でのヘリとの緊迫したアクションは中々ひきつけられます。
一際アクションで押し切った続編の「ミッション・インポッシブル2」とのタッチのギャップを見比べるのも面白いかと。世界トップレベルの諜報員達の名が記録されたリストが何者かに盗まれ、ブラックマーケットに流出した。秘密諜報員イーサン・ハントを含めた国際的情報組織『IMF』のメンバー達に指令が下り、さっそく彼らは、作戦を開始する。米国大使館のパーティに潜り込んだメンバーは、重要機密データを狙うプラハ米国大使館員の行動をマークし、任務を成功させるが、そこには、思わぬ罠が仕掛けられていた・・・。