激突 将軍家光の乱心
(1989年東映)
監督 降旗康男
出演 緒形拳(石川刑部) |
家光が、自分の息子の命を奪い取ろうとするセンセーショナルなストーリーも面白いところですが、何より、当時の千葉アクションは、光っていました。映画の醍醐味と言うべき息を呑む壮大なアクションの連続で、これぞ日本映画アクションの王道と言った感じでしょうか。人馬もろとも爆風に飲まれ転倒したり、はたまた30mもの巨大な崖をダイビングする場面も思わず息を呑みます。浪士達を追う幕府の軍団の乗った馬が橋もろとも爆破され、川に落とされるシーンは、西部劇アクション『ワイルドパンチ』を彷彿させる。また、『少林寺2』『阿羅漢』『酔拳2』などにも出演している中国人俳優・胡堅強(フー・チェン・ツァン)の活躍も凄い。棒を振り回し敵を叩きのめしたり、カンフーの技も鮮やかで、その怪くてすばしっこい動きに、思わずジャッキー・チェンの『酔拳』を思い出してしまいました。『阿羅漢』ほどの活躍ではないものの、見応えは十分です。
さらに凄いのは、長門裕之演じる六兵衛が馬に乗りながら油を被り火まみれになるシーンは圧巻。このシーンを撮るために、アクション監督の千葉真一は、『タワーリング・インフェルノ』や『炎の少女チャーリー』などを手がけたファイア・スタント・コーディネーターとしてジョージ・フィッシャーを招いて撮影したそうです。アルフィーの挿入曲やテーマ曲もアップテンポで勇ましく、とても良かったです。
七人の浪士達が自らの命を払ってまで一人の子供を守り通そうとするその「侍魂」には心打たれるものがあります。それぞれの個性は薄いものの、野性味溢れ、反面優しさ持ち合わす浪士達の生き様に思わず感動・・・。
「踊る大捜査線THE MOVIE」や、「ホワイトアウト」で一躍人気うなぎのぼりの織田裕二が若かりし浪士を演じているのも注目です。
三大将軍家光は、将軍継承に絡み、佐倉藩に預けていた長男竹千代の殺害を老中・阿部重次に命じる。家光の陰謀を察知した佐倉藩主の堀田正盛は、石川刑部(いごうぎょうぶ)や、多賀谷六兵衛ら、凄腕の浪士達に竹千代の護衛を依頼する。かつて刑部は、阿部のために無理矢理妻の万を家光の側女に差し出した過去があった。やがて幕府から竹千代を江戸城に出仕させる命令が来る。それが罠だと気づいていた堀田は、刑部に竹千代を預け、伊庭庄佐衛門率いる幕府の大軍団に迎え撃つが・・・。
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