隣人13号
(2004年メディア・スーツ/アミューズソフトエンタテインメント)
監督 井上靖雄
出演 中村獅童(13号) |
人気コミックの映画化。新感覚のサイコホラー。幼い頃、同級生達に過剰ないじめを受けて、顔に損傷を受けた村崎十三は、それが原因で13の人格を持つことになる。いつもは、温厚な顔立ちの十三が一番凶暴な人格「13号」に変わると、その凶暴な性格と共に顔も獣のような凶暴な容貌に変化してしまう。少年時代に彼をいじめた赤井トールと同じアパートに引っ越し、同じ職場に入り、復讐のチャンスをうかがう。13号を演じる中村獅童氏の凄みのある表情が強烈なインパクトを与える。これまでのホラー映画の印象に残るキャラと言うと、80年代ならば、『13日の金曜日』のジェイソンか、『エルム街の悪夢』のフレディなどを思い出すが、オレンジのダウンジャケットと白い左目と威圧感のある獣のような顔の組み合わせが結構怖い。それまでダウンジャケットと言えば、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマーティの代名詞みたいな感覚もあったが、この映画を見てからは、ダウンジャケットのイメージ=13号になってしまった。
日本のホラー映画は、無駄に1カット長回しのシーンが多く、テンポも遅くて、あまり好みではないのだが、この映画は、その長回しがとても効果的に作用していて、長回しにすればするほど、恐怖感が増してくるところが良い。とくに、建設現場で十三の唯一の理解者となった関肇が13号によって撲殺される場面は、身震いするほど恐ろしい。残虐な殺戮が行われているにも関わらず、その周りは、いつもと変わらない日常の風景が流れていて、何気なくバイクが殺人現場を通り過ぎて行くところも良かった。にしても十三の中の13号の人格を受け入れた肇が殺されてしまうのは、なんとも理不尽と言うか、可愛そうであった。また、あだ討ちのために13号の犠牲になる赤井の子供のシーンも印象的だった。遊園地の観覧車のゴンドラの中で13号に泣かされているのだが、この場面に映る子役は、どう見ても本当にいじめられて泣かされているようにしか見えないのだが…。
映画の冒頭、中盤、終盤で入る十三の心の中のイメージ場面では、裸の十三と13号が互いに向き合って、気だるそうに奇妙な踊りをしているのだが、このシーンが一番面白かった。本当の十三は、もしかしたら、「13号」そのものだったのではないだろうか…。
小学生時代、同級生の赤井トールにいじめられ、顔に硫酸をかれられた村崎十三(じゅうぞう)は、それが原因で、「13号」という凶暴な別人格を生み出してしまった。数年後、十三は、家庭を築いている赤井に復讐するため、赤井と同じアパートに引っ越し、彼と同じ建設会社で働くことになる。現場のリーダーになっていた赤井は、かつて、いじめていた新入りの十三をまたいじめ始めるが…。
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