新幹線大爆破

（1975年／東映）

監督　佐藤純弥

出演　高倉健・千葉真一・山本圭
　　　織田あきら・竜雷太・田中邦衛
　　　丹波哲郎・渡辺文雄・藤田弓子
　　　多岐川裕美・宇津井健／他

「スピード」のアイデアの原点がこの作品にあることは前々から知っていて､気にはなっていたが、ようやく見ることができた｡当時の価格で総制作費５０億円と言うからすごい。出演人も、今からして思えば華やか。最近の映画の犯人像と言えば､人を平気で次から次へ殺していく凶悪犯か、（13金やエルム街などのホラーは別として）陰湿なストーカー紛いの犯罪者｡しかし高倉健が犯人役というところもまたこの映画のおもしろいところで、意外性がある｡アクションなしの千葉真一が、新幹線の運転士に徹しているところも面白い｡たぶん他の映画ならば犯人の高倉健と一騎打ちをするところだろう｡新幹線を監視人役の宇津井健も全身で乗客の命を救おうと躍起になっている姿が印象的だ｡警察と犯人達のやり取りはいささか強引（犯人に現金を引き渡している時に、たまたま犯人のそばを通りがかった柔道部員達に刑事が捕まえてくれぇ、と叫ぶところなど）で、あれでは新幹線を爆破されても仕方ない状況になるのではと捜査の仕方に疑問はあった。肝心の新幹線の方は全編ミニチュアで､ちょっと滑稽だった｡でも今の日本映画にはない緊張感と切迫感があって､おもしろいと思えた一作品でした｡

博多行き新幹線「１０９」号に爆弾を仕掛けたという電話が国鉄、公安局にかかった｡時速８０キロ以下のスピードに下がると爆弾が爆発する｡運行司令室は、運転士と連絡を取りながら１５００人の乗客の命を守るため､１０９を走行させ続ける｡犯人達は、米ドル５００万ドルを要求してきた。警察は、現金の受け渡し現場に向かい､取引を始めるが･･･｡