T.R.Y.
(2003年ニュー東映)
監督 大森一樹
出演 織田祐二(伊沢修) |
「天才詐欺師・伊沢修が仕掛ける史上最大のプロジェクト」なんて言うフレーズを聞いて、一体どんな大仕掛けがあるのだろうと期待してみました。オープニングは、『スティング』を彷彿させるような演出も見られ、これからの展開に引き込まれそうになったのですが・・・。ストーリー展開は、テンポが悪くいまいち。アジア向け、大作映画と言った意味では、確かに壮大さは、あるものの、アクションにいまいちキレがない。ラストの爆破シーンも、爆破が物語に生きていなくて、緊迫感がない。場面のところどころで見られるスローモーションも無意味に思えた。
『スティング』のようなコミカルさや華麗さ、ハッとさせるような驚きがあればまだ良かったのですが、そう言うのもなく、痛快さも感じない。国家の武装構想、時代背景も今ひとつ読み取れない。それは、たぶん、織田祐二がその時代のヒーローを演じたのではなく、『踊る大捜査線』の青島のような現代のヒーローを演じてしまったからではないだろうかと思う。伊沢と言う人間の魅力がいまいち薄く見えた。ただ、陸軍中将の東正信を演じた渡辺謙さんの演技は、良かった。小説などを読めば、伊沢と言うヒーローの魅力にありつけるのかもしれないが、それを画面で表現して頂けなかったのは、残念。群像劇のようだが、伊沢と数人のキャラクターだけで十分に、彼の魅力を描けたのではないだろうか。
20世紀初頭の上海、悪党を相手に荒稼ぎしているペテン師・伊沢修は、殺し屋から自分の命を救ってくれた革命家の関のために、日本軍から武器弾薬を盗む約束をするが・・・。
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