誘拐

（1997年／東宝）

モブ(群集)シーンが話題になった超大作映画。３億円の身代金の入ったバックを持って男達が東京の銀座、新宿、歌舞伎町の町をはえずり回る。渡哲也が映画で刑事役を演じていると言うこともあって劇場にも足を運んだのだが、確かに前半の身代金受け渡しの経緯、マスコミ、野次馬を抱えての群衆大移動のシーンは見応えありで、そのリアリティも、すざましく壮絶に描かれている。しかし東京上空に何台ものヘリが飛び周り、何人もの群集が東京の町を疾走する話題性だけの映画になってしまっているような気もする。暴かれていく犯罪の裏にあるもう一つの秘められたテーマにつながるまでの過程と前半の群集シーンには、なんだかギャップがありすぎて、後半は、あまりに地味な展開に仕上がっている感じがする。どうも展開のテンポがアンバランスで見づらかったというのが正直な感想です。

身代金の取引シーンの展開も、始め犯人はゲームをするかのように身代金の受け渡し、人を四方八方振り回す。それをテレビの中継者のモニターで見ていた津波は、「これは公開殺人だ」と言って今度は自分が、倒れた受け渡し人の代わりに身代金を持って走り出す・・・・この辺までは良かったのですが・・・。犯人と津波の素性と過去が明らかになる連れ、人間ドラマとしての部分が強調されズシンと重たいものがのしかかってくる・・・。確かにオリジナリティはあるんですが、見せ方としてはいまいちだった様な気がします・・・。

ロス市警から呼び戻された藤も何のために呼び戻されたのかがよくわからず、津波に振り回されているだけで、なんだか頼りない。彼がもっと全面で活躍していればもっと面白い展開があったかもしれない。

警視庁捜査一課特捜課の刑事役で、『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』のストリング＝フェロー・ホークの声を担当している磯部勉さんが出演しています。

誘拐事件が発生する。犯人は身代金３億円と、その受け渡しの様子をテレビ中継で流すよう要求してきた。警視庁の橘警視は、捜査一課特捜犯第一係長の津波（つば）警部と、ロス市警に配属されていた藤刑事を呼び戻し、事件の捜査にあたらせる。被害者は東昭物産の跡宮壮一郎。犯人は東昭開発監査役の神埼を指名し、何百人もの報道陣と、野次馬が見守る中、３億円の入った重さ３０Kgのバックを持たせ東京中を走り回らせるが・・・。