大福星
福星高照(1985年/香港)
監督 サモ・ハン・キンポー
出演 サモ・ハン・キンポー(キッド) |
日本を舞台にした海外の映画作品と言えば、古くは「007/007は2度死ぬ」や、大阪を舞台にした「ブラック・レイン」、マニアックなところで「悪魔の毒々モンスター・東京へ行く」、最近はジャッキー・チェン主演の「デッド・ヒート」もラストのレースシーンは日本が舞台でした。しかし本格的に日本で撮影した香港映画は、おそらくこの作品ぐらいなのではないでしょうか。ジャッキー、ユン・ピョウ、サモと3人の黄金コンビが登場していますが、残念ながらユン・ピョウは、冒頭のカーチェイス・シーンと遊園地のでの格闘シーン以降は、ラストまで出てこないし、ジャッキーも出番が少ない。この映画の主人公は、キッド・ハンサム・ヒゲ・クレージー・チビの詐欺師5人組の面々。とにかく5人が集まると、愉快になり、抜群のコンビネーションを発揮する。中でも一番笑えたのは、黒服に身を包んだ面々が「縛り組」とか言って、女刑事のフラワー警部と一人ずつ縛られて抱きついていくシーン。その後のベッドシーンのオチも笑えます。
冒頭のカーチェイスシーンは、やはり日本でロケーションしているせいかちょっとおとなしいように感じる。しかしカートレーラーを土台に車がハイジャンプするシーンは、度肝を抜きます。その後の富士急ハイランドでのジャッキーやユン・ピョウの体を張ったカンフーアクションも見応えありです。アラレちゃんのぬいぐるみを着たままジャッキーが敵と格闘する場面などを見ていると、時代を感じさせますね・・・。
それにしてもいつも思うことですが、海外作品の日本の描き方と言うのは、どこか違和感があって、ある種時代錯誤じみている。この映画の中でも野武士でも出てくる時代劇のセットのようなところで、サモとジャッキーがおちあい、カンフーアクションを展開していますが、それがどうも妙だ。日本の文化の特徴をわかりやすくするせいか、忍者が出てきたり、面々が着物を着たり、はたまた富士山あたりでロケされていたりする。しかし香港でやればもっと大掛かりなアクションができそうな気がするのに、やはり日本にくるとさすがの香港映画も萎縮してしまっているように見える。やはりこの国は映画に対する愛情や理解が薄い国だな・・・とつい批判してしまうのだが・・・。
このシリーズ、この後「七福星」「十福星」とシリーズ化されています。
警官のマッスルとリッキーは、一億ドルのダイヤを奪った男を追って日本にやってきたが、やくざに拉致されてしまう。香港警察のウォルター警部は、刑務所に拘留中のキッドを事件を解決に利用する。さっそくキッドは昔の仲間達を集め、そして香港特捜隊の女刑事フラワーと共に日本に乗り込んだ・・・。