救命士

BRINGING OUT THE DEAD (1999年/アメリカ)

監督 マーティン・スコセッシ

出演 ニコラス・ケイジ(フランク・ピアース)
   パトリシア・アークエット(メアリー)
   ジョン・グッドマン(ラリー)
   マーク・アンソニー(ノエル)
   クリフ・カーティス(サイ・コーテス)/他


この映画は正しく『タクシー・ドライバー』の「救命士」版と言ったところだろうか。マーティン・スコセッシと言えば、ロバート・デ・ニーロとのコンビの印象が強く、主人公はいかにも凶暴で狂気に満ちたイメージにとらえがちだったが、今回は違う。内に秘めた狂気や欲望を剥き出しにする「タクシー・ドライバー」の主人公を演じたデ・ニーロに対して、この映画で主人公を演じたニコラス・ケイジは、いかにも人間的で、弱くて脆くておとなしい主人公を演じている。彼がそういう役を演じるとこれがまた妙にはまる。夜の街を失踪する救急車。それを運転する主人公にネオンの光が遮り、ナレーションが入るオープニングの雰囲気もまた、タクシー・ドライバーのオープニングで、デ・ニーロがタクシーを運転しながら夜の街を失踪しているイメージを連想させる。

激務で毎日絶えず人の生死の狭間を見つめなければならない救命士達。死んでいった人間達の亡霊に苦悩するフランクの姿を通して、命をたやすくもてあそぶ若者達、生きたくても生きられず、病床で死んでいく老人などを様々な人間模様を映し出し、やりきれない思いを感じながら生きている救命士達の「本音」の部分がストレートに伝わってくる。


1990年、犯罪とドラッグに溢れるニューヨークの街で救命士の仕事をするフランクは、自分の仕事に使命感と誇りを持ち、人を救うことによって自分を神だと信じていたが、もう半年以上も人の命を救うことができず、苦悩している。やがて彼は、自分が救えなかった少女の亡霊につきまわれるようになり、彼女に精神的に追いつめられていく・・・。


 

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