ロボコップ

ROBOCOP(1987年/アメリカ)

監督 ポール・ハーボーベン

出演 ピーター・ウェラー(アレックス・J・マーフィー)
   ナンシー・アレン(アン・ルイス)
   ロニー・コックス(リチャード・ディック・ジョーンズ)
   ミゲル・フェラー(ロバート・モートン)
   カートウッド・スミス(クラレンス・J・ボディカー)/他


アクションヒーローが間違って、超過激なバイオレンス映画に登場してしまった・・・。初見当時は、とても衝撃的だった。デザインは、『宇宙刑事ギャバン』を参考にして作られたそうですが、リアルさを求めたゆえ、動きが鈍く、いまいちスピード感に欠けるロボットだと少し物足りなさもあったのですが、人間の感性と機械の融合と言う意味合いを考えると、これがベストなんだと納得する事ができました。その後、何度も作品を見ているうち、そのロボットらしい細やかな動きを見れば見るほど、なぜかとても美しく、魅力的に見えてきました。大腿部から出てくる「オート9」銃のズバ抜けたカッコ良さも素晴らしい。まるでロボット版『ダーティハリー』のよう。重さ何十キロもあるコスチュームを着て、芝居をしたピーター・ウェラーは、相当な体力が要求されただろうと思いますが、その苦労を知ると、尚更この映画が魅力的に見えてきます。それにしても、アメリカンヒーローは、いつも口元を露出するのお好きです。日本のヒーローでは、『ライダーマン』ぐらいしか思い当たりませんが。しかし、この作品では、マーフィーの人間の部分は、唯一顔だけで、口元を露出することによって人間味を持たせているのが、また、粋な感じがします。

バーホーベンの凄まじい暴力描写は、幼少の頃の戦争体験で、たくさん人が死んでいる光景を目の当たりにしたところから来ているそうですが、この映画の中でも警官マーフィーが、冷酷非道極まりない凶悪犯に、体をズタズタにされるまで、徹底的に銃撃を受け息絶える。そのリアルな描写は、何度見ても恐怖と震撼を覚えます。これほど過剰な描写は、必要ないのではと思いますが、しかし、この残虐さゆえにロボコップに感情移入してしまう。ロボコップが人間の時の記憶と葛藤しながら、執拗に犯罪者達を追い掛け回す。その執念は、生身の人間よりも凄まじい。単純な復讐劇とは思えないくらいのその構築された世界観に酔いしれてしまう。『フランケンシュタイン』などの怪物と人間との触れ合いと言うファンタスティックなテーマも織り込んであり、それがまた心打たれる要素だったりもします。一番印象に残った場面は、やはり、ロボコップの誕生シーン。ずっとロボコップの視点(LED画面)で描かれていたのがとても良かった。時折、登場するニュース番組のシニカルな風刺映像も、面白い場面でした。

戦闘ロボットED-209の第一印象は、なんとも頼りになりそうな奴に見えるが、味方を撃ち殺すは、命令は、聞かないは、見事な欠陥ぶりとドジっぷりをさらけ出してくれる。ED-209の戦闘シーンは、昔懐かしいミニチュア合成になっていますが、確かに動きは、CGよりも奇抜に見えますが、今見ると、とても味わい深いものがある。そう言えば、CGが現れる前までは、こう言った合成がSF映画の特殊効果の主流だったなぁ・・・。

それにしても、テレビで放送された日本語吹替え版は、見事な声優陣の組み合わせでした。マーフィーの声は、『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』でホークを担当していた磯部勉さんや、凶悪犯クラレンスは、バート・レイノルズや『警察24時』のドキュメントのナレーションでお馴染みの田中信夫さん、ジョーンズ役は、『ナイトライダー』のデボンこと、中村正さんと言う豪華ぶり。ちなみに、1990年に『日曜洋画劇場』枠で一番最初に放送された時の視聴率は、31.2%と言う高視聴率をマークしたそうです。


近未来、犯罪都市と化した街、デトロイトでは、街の治安を取り戻すため、警察を運営する民間会社OCP(オムニ・コンシュマー・プロダクツ)社が人間型の「ロボット警官」を作り出す計画を進行させていた。凶悪犯グループを追跡中、犯人達に銃撃され、命を落とした警官マーフィーが、実験台にされ、『ロボコップ』が誕生する。しかし、マーフィーの記憶の中には、まだ人間の時の微かな記憶が残り、やがて、マーフィーは、自分を殺した凶悪犯達に復讐心を持ち始める。


 

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