■ 超音速攻撃ヘリ新エアウルフU〜ミレニアムエピソード〜指令・ブラックウルフを撃墜せよ! 

 

<後編12> 〜スカイナイトウルフ〜

 

ベネズエルはある小型のリモコンを持ち、スイッチを押した。すると、スーパーエアーウルフの周りに緑色のシャボン玉のような膜が機体全体を包み込んだ。アルバートは長い銃身のついた銃を持ち、羽の上の缶に狙いを定めた。ウォルターはアルバートに話し掛けた。

ウォルター「アル、その銃は一体なんだ?」

アルバート「ロングライフル・TO−XW−218、45口径だ。全員下がってくれ、こいつの威力は協力だからな」

ベネズエル達はアルバートから離れ、部屋の壁際まで下がり続けた。アルバートはトリガーを引いた。銃口から弾丸が缶に向かって勢い良く飛び出し、アルバートはその反動でのけぞった。弾はパワードスーツの膜に跳ね返り、天井に突き刺さるように当たった。天井の壁が強烈な爆音と共に崩れ、大きな穴が空いた。羽の上の缶はびくともせず、何事もなかったようにじっとしている。

ベネズエルはリモコンのボタンを押し、パワードスーツを切った。倒れ込んでいたアルバートの元にウォルターが近寄り、彼を起こした。

アルバート「ロシア製のこの銃でもびくともしねぇとはな。恐れ入ったよ、まったく」

ベネズエル達が元の場所に戻って来る。

ベネズエル「これでわかっただろ?」

ウォルター「ああ」

ベネズエル「パイロットスーツだが、時間がなくて作れなかったので、エアウルフのもので我慢してくれ」

ウォルター「なんでもいいさ。なぁ、このヘリに別の名前をつけてもいいか?」

ベネズエル「別の名前?コードネームの事か?」

ウォルター「鎧をつけた騎士の狼・・・『ナイトウルフ』ってのはどうだ?」

ベネズエル「なんだそれは?」

ジョン「悪くないな。だがエアウルフの名を残したいから、『エア・ナイトウルフ』ってのもいいかもな」

ホーク「だったらこうしよう。空(スカイ)を頭につけて、『スカイ・ナイトウルフ』ってのはどうだ?」

ベネズエル以外のメンバーは全員頷き、納得した。

ベネズエル「まったく君達には困ったもんだ。私の作ったヘリに勝手に名前を付け替えるとは・・・」

アークエンジェルはベネズエルのそばに立ち、

アークエンジェル「いいじゃないか。彼らは君のためにここまでやってくれたんだ」

ベネズエル「・・・」

 

一時間後、ウォルターとアルバートはパイロットスーツに身を包み、黒いヘルメットを持ってスーパーエアウルフの前に近づいて行った。

ウォルター「O.K。こいつなら、ブラックウルフに楽勝だ」

ベネズエル「戦闘能力はエアウルフの5倍以上。しかし、下手に扱うと大惨事を起こす事になるぞ」

アルバート「わかってるって。ところで、このヘリどこから乗るんだ?キャノピーは見えてるのに入口の扉が一つもない」

ベネズエルはスーパーエアウルフの右側に立ち、彼らに説明する。

ベネズエル「まず、入り方から教えなければな・・・」

ベネズエルはスーパーエアウルフのG.A.A.Fの前に手を伸ばした。先端部分のブロックに手を入れ、おもいっきりそれを引っ張った。その隣でパーツがスライドし右側に移動すると、キャノピーの入口の扉が一瞬で上下に開いた。ウォルター達はその構造の素晴らしさに思わず、声を上げた。

ウォルター「凄く手の込んだ仕掛けだな・・・」

ベネズエル「簡単に入れないように設計したんだ」

アルバート「まさに化けもんだ」

ベネズエル「化けもんじゃない。スーパーエアウルフだ。やり方は、機体の右側の扉を開けるときはコクピットの前のハッチレバーを左手でを引く。左側は逆の手だ」

ホーク達もそれぞれベネズエルに質問を始めた。

ジョン「なぜコクピットの前にハッチレバーがあるんだ?」

ベネズエル「見ての通り、キャノピーの扉が開く時に前に立たないと、危険だからな」

ホーク「何でわざわざこんなもの扉の前につけているんだ?もっと配置を変えたらどうだ?」

ベネズエル「それは飛ぶ際に機体にかかる気圧を曲げるためだ」

マーク「頭についているあのトサカみたいなのは一体なんだ?」

アークエンジェル「私もそれについて知りたかったんだ。なぜだ?」

ベネズエル「ブラックウルフはローターの前に2つの空気シフトを付けている。それにより、ブラックウルフは空気を切り裂き、超音速で飛べる。スーパーエアウルフの場合もローターの前にあれをつけることによって、気圧を3分の1まで押さえられる事ができ、軽々と超音速で飛ぶ事ができるんだ」

ジェイソン「機体前部の下に空気口とタンクのようなものがあるが、あれは何だ?」

ベネズエル「その空気口はジェットタービンを冷やすためと、機体を安定させるために必要なんだ。動き出したタービンの熱は200度から300度まで上がり、長時間使うと、オーバーヒートを起こす可能性がある。また、これがあることによって、空中でバランスを取り、より速く飛ぶ事ができる。タンクは第2タービンを動かす動力源で、トップスピードを出すために必要なものだ。全タービンを使えば、マッハ4以上出せることができる」

アルバート「つまり、俺達はモンスターマシーンを扱うわけだ」

ベネズエル「史上最強のヘリだぞ」

ウォルターは機体を見上げてこう言った。

ウォルター「『スカイナイトウルフ』ね・・・」

ベネズエル「他に質問がなければ次の説明に移るぞ」

ベネズエルはスーパーエアウルフの先端部についている銀色の長いパーツの説明を始めた。

ベネズエル「このレバーはただ引くだけでは入れない。レバーは言わば銃と同じ論理と言って良い。引き金とランプ付きのボタン、そしてレバーのトリガーは重要なんだ。やり方としてレバーを持ちランプ付きのボタンを押したままレバーのトリガーを押して後ろへ引く。間違えた場合は盗難防止用のシステムが作動し、スモークガスを発生する。今はまだガスを入れていないがね」

ウォルター「ややこしいな」

ベネズエル「レバーさえ間違わなければ良い。これを覚えられないほど、君はバカじゃないだろ」

ウォルター「まっ、それもそうだが・・・」

アルバート「これでこのヘリの説明は終わったのか?」

ベネズエル「それからもう一つ。最高音速時の飛行で、スピード低下させるには『逆噴射』用の小型タービンを使う。そのタービンはハッチレバーの横にあるG・A・A・Fポットの中に内蔵してあり、約2、3分ほどでスピードを落す事ができる」

ウォルター「さっきから言っているそのG・A・A・Fって何だ?」

ベネズエル「Gはガード、Aはアーマー、その次のAはエアーで、Fはフレームだ」

ウォルター「ガードアーマーエアフレーム・・・」

ベネズエル「Gと気圧を守る意味だ。以上だ」

ホーク「そろそろテスト飛行を始めないか。もう時間がないぞ」

 

こうしてスーパーエアウルフは完成した。『スカイナイトウルフ』と、ブラックウルフとの対決の時は刻一刻と近づいていた・・・。

 

〜後編 完〜

 

長い間読んで頂き、ありがとうございました。この物語は、この後「最終決戦編」へ続きます。

「最終決戦編」は呉藤氏のHPにてご覧頂けます。下記のアドレスをクリックしてください!

 

http://isweb41.infoseek.co.jp/cinema/airfan/index.html

 

 

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