■ 超音速攻撃ヘリ新エアウルフU〜ミレニアムエピソード〜指令・ブラックウルフを撃墜せよ! ■ <前編1> 〜黒い狼〜 2000年5月、アメリカヴァージニア州CIA(中央情報局)第5部の秘密地下施設レベル2。ここは、CIAが独自に作り出した兵器を保管する場所である。この施設の担当者は、CIA副部長ダークエンジェル。通路を歩いていた彼の後を追って、空軍長官アーラン・ライフェル将軍、海軍長官エリック・モリス、陸軍長官クラット・ルーガンの三人がやって来た。ダークエンジェルは、銀色の扉の前で立ち止まり、三人に向かってこう言った。 ダークエンジェル「では、今世紀最後のアメリカの最強兵器をお見せしましょう」 ダークエンジェルは、扉にIDカードを差し込む。厚さ5cmの扉がゆっくりと左右に開き、4人は中へ進む。その中は、巨大な空間が広がり、天井は、ドームのように丸くなっている。そして中央には、長く黒い一機のヘリが止まっていた。 クラット「まさか、このヘリのためだけに、我々を呼び出したのか?」 ダークエンジェル「ただのヘリと思ってバカにされては困る。このヘリには、50億ドルの開発費と、8年間もの時間を費やしたんだ。名前は、AIRWOLF3、コードネームは、ブラックウルフ。世界最強のヘリです」 アーラン「世界最強とは、大げさな。我が軍には、ステルスと言う戦闘兵器があるが、それを上回る兵器があるとでも言いたいのかね?」 ダークエンジェル「このヘリは、36年前のある計画を元に作られ、そして新たな技術を取り入れてます」 エリック「36年前の計画とは、いったいなんなんだね?」 ダークエンジェル「AIRWOLF計画です。36年前、元CIA副部長のアークエンジェルがこの計画を始め、その20年後に試作機を完成させた。しかし、私はそれを見たことがなかったので、当時のデータやファイルを元にしてこのブラックウルフを作ったのです」 アーラン「ブラックウルフとは、また変な名前だな。それより本題に入らないか?我々はそんな話しをするためにここへ来たのではないぞ」 ダークエンジェルは、三人をブラックウルフの前まで連れて行き、彼らにヘリの説明を始めた。 ダークエンジェル「ブラックウルフは、ツインエンジンで、推進力は、320ノット。エアーウルフよりも20ノット速く、また、トップスピードは、マッハ4の超音速で飛行できます」 クラット「マッハ4だと?バカな・・・超音速で飛ぶヘリなど、この世に存在しない。第一、どうやってそんなスピードを出せるのだね?」 ダークエンジェルは、ブラックウルフの後ろに回る。三人も彼の後を追う。 ダークエンジェル「ブラックウルフの左右のタービンに注目して頂きたい。このタービンとロータリーエンジンの中央のタービンにより、マッハ2を出すことができ、これにさらに空気口横の排気口により、マッハ3〜4の超音速を出すことができるのです」 アーラン「2つの質問がある。もしそのブラックウルフがマッハ4の音速を出したら、どうやってそのスピードを止める?ロータリーで止まるには、4〜5分はかかる。それにそのスピードでは、ロータリーが壊れるのではないか?」 ダークエンジェル「その質問にお答えしましょう。このブラックウルフは、マッハ4のスピードでも減速させることが可能です。ヘリの先端部に台形の部分があります」 ダークエンジェルは、そばのテーブルの上に置いてあるリモコンを取り、スイッチを押す。すると台形の部分が開き、中から小型タービンが表れる。 ダークエンジェル「この小型タービンは逆噴射用で、これでスピードを落とすことができるのです。またメインローターは、超合金で、マッハ4の風圧にも耐えられます」 エリック「もしブラックウルフがマッハ4の音速で飛んだら、パイロットにはかなりの負担がかかると思うが・・・」 ダークエンジェル「ええ、それに耐えられるパイロットを探すまでです。ブラックウルフの武器は、全部15種類あり、ミサイルからガトリングガンまで揃えています」 ダークエンジェルは、リモコンのボタンをいくつか押す。すると、ブラックウルフ前方下の格納庫が開き、また左右のいたる部分が動き始める。 ダークエンジェル「今開いた前方の武器は、ツインスライクキャノンで、1度に2発のミサイルを発射します。左右から出てきたのは50mm機関砲、スーパーサンバースト、その他の武器も併用できます」 アーラン「つまり、攻撃用ジェットヘリコプターということかね」 ダークエンジェル「まぁ、そう言うことです」 エリック「しかし今までの説明だけでは、世界最強のヘリを実証したことにはならんぞ。テストはしたのかね?」 ダークエンジェル「今からお見せしましょう。テーブルのモニターを見てください」 ダークエンジェルは、モニターを映し、三人に見せる。画面には空を飛ぶ黒いヘリ(ブラックウルフ)が映っている。ブラックウルフは、一度機体を低下させ、タービンを噴射させる。すると、一気にスピードを速め、前方を飛んでいるTU−36型ヘリコプターに向かって行く。TU−36すれすれの所で急上昇し、今度は、無人ヘリが飛ぶ方へ向かう。ツインスライクキャノンと50mm機関砲が表れ、ツインストライクキャノンから数発のミサイルが発射される。無人ヘリは大きな爆発音と共に、一瞬で炎に包まれる。 アーラン「ブラックウルフの強さはわかったが、今のパイロットは君かね?」 ダークエンジェル「はい、私が耐えられたスピードは、マッハ2でしたが・・・」 エリック「よくあんなスピードで前が見えるな」 ダークエンジェル「その秘密は、ヘルメットにあるんです」 ダークエンジェルは、ヘルメットをテーブルから取り、三人に見せる。ヘルメットの上部と左右にはカメラがつけられている。アーランは、ダークエンジェルから受け取ったヘルメットを被る。 ダークエンジェル「私達から見て左に見えるレンズは赤外線で、右はナイトスコープになっています。上のレンズは、マッハ速度に到達した時、自動的に前方をスロー画面のように映し出すようになっており、フライトシステムを解して1〜30秒後の距離を割り出し、約一万Km先まで見通せることが可能です」 クラット「で、このブラックウルフをどういう形で使うのかね?極秘で作ったのはいいが、もし上層部の連中にこの事が知れたら君はクビになりかねないぞ。それにこのヘリが盗まれでもしたら・・・」 ダークエンジェル「わかっています。ですが、ブラックウルフは盗まれることはできないでしょう。この部屋に来るには、2つのゲートを通らなければならないのですから。一つ目は赤外線装置つきの扉、そして2つ目は今入ってきた扉・・・。このヘリは、しばらくCIAで使うことにします。この2年の間に同様のヘリを15機ほど増産して、軍に売るつもりです」 アーラン「いくらで売るつもりだね?」 ダークエンジェル「25億ドル。それに利子を上乗せしたとしても、ざっと30億ドル程になりますか。まとめて買われる場合、交渉しだいでは、値引きも考慮させてもらいます・・・」 アーラン「それにしても前から見た形は、狼そのものだ。なぜブラックウルフと言うんだね?」 ダークエンジェル「以前は『悪魔』と呼んでいましたが、今は、闇夜にうごめき、牙をむく黒い狼・・・とでも言っておきましょうか」 エリック「ステルスを上回ると言ったが、ただ攻撃できるジェットヘリと言うだけでは世界最強とは言えないだろう?」 ダークエンジェルは、にやりと笑い、 ダークエンジェル「実は、このブラックウルフにもステルスF−117と同じRAMを使用しています。ただ、少し違う点があり、それは単にレーダーから消えることではなく・・・数秒だけ姿を消していられるのです」 クラット「姿を消す?」 ダークエンジェル「ええ、今は30秒が限界です。ステルスは、機体の装甲板にRAM製外板を使用し、レーダーから消えていましたが、ブラックウルフは、RAMの技術を最大限に利用し、電流を流し込むことによって、姿を隠し、そして敵を仕留める。まさにスーパーステルスと言っても過言ではないのです」 エリック「姿を消すことなんて不可能だ。もし消えるのならこの場で見せてくれ」 ダークエンジェルは、リモコンのボタンを押す。すると、ブラックウルフの機体の周りを雷のような青白い光が包み込む。そして2秒後、その光に包まれたヘリは、一瞬で見事に姿を消した。三人は、口を開けたまま呆然する。ダークエンジェルは、またリモコンのボタンを押し、ブラックウルフの姿を呼び戻した。 アーラン「なぜ消える時間は30秒しかないのかね?」 ダークエンジェル「あまりに長時間使うと、ブラックウルフの電力がカラになってしまうからです。今使った分だけでも全体の50〜60%の電力を消費しました」 アーラン「つまり、実戦では一度しか使えないということか。しかし、ブラックウルフに電流を流すと、中のパイロットは感電死しないのかね?それに消えている間、パイロットはどうなっている?」 ダークエンジェル「ヘリの中までは電流は流れません。それに姿が消えている間でも、パイロットは通常どおりの操作をしています」 クラット「空気口に銃弾が入った場合はどうなるのかね?」 ダークエンジェル「空気口には、防弾機能がついていて、弾が入ったとしても何の問題もありません。ガラスや機体ももちろん、対戦車用ミサイルを弾き飛ばし、1万度の炎にも耐えることができます」 エリック「ダークエンジェル・・・こんなことは言いたくないのだが、ブラックウルフを実用化するのは危険だ。増産するのはやめるべきだ」 ダークエンジェル「・・・わかりました。それでは、この件は、トップシークレットとして、4年間実用化を凍結しましょう」 ダークエンジェルの言葉を最後に、4人は、扉に向かって歩き出し、その部屋を後にした・・・。 |
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