■ 超音速攻撃ヘリ新エアウルフU〜ミレニアムエピソード〜指令・ブラックウルフを撃墜せよ! ■ <前編2> 〜謀略〜 三日後、アメリカ・ロサンゼルスにあるレッドフォール空軍基地。空軍長官アーラン・ライフェル将軍は、自分のオフィスに向かって歩いていた。彼はオフィスの扉を開けると、スイッチを押し、薄暗い部屋に明かりを点し、こう言った。 アーラン「おい、モフェット、私が帰るまで、勝手に部屋を使用するなと言っただろう」 アーランは、オフィスにある全てのドアを開き、中を確認するが、どの部屋にも人の気配はなかった。しかし、部屋のどこかで微かな音が聞こえる・・・。アーランは、音の鳴る部屋の方へ進み、目の前のカーテンを開き、中を覗き込む。すると、そこには、一人の男がいた。薄暗い部屋の中で、イスに座り、テレビを見ていた。 アーラン「モフェット、聞いてるのか?」 モフェットと呼ばれる男は、アーランに話し出した。 モフェット「なんだ帰ってきたのか・・・で、どうだった?」 アーランは、窓のカーテンを開く。部屋に眩しい陽射しが差し込んでくる。 アーラン「何を見てる?・・・また持ち込んで来たのか?」 モフェット「暇だったものでね。君がいないと知ってここに来たが、なかなかいい部屋ではないか」 アーラン「ここは私の部屋だ。さっさと出て行け!」 モフェット「そう硬いこと言うな。古い付き合いだろ。数年前に兄が死んで以来、ここしか行く場所がない。親友は、もう君しかいないからな」 アーラン「何で亡くなった?事故か?」 モフェット「殺されたんだ。11年前にCIAから届いた手紙には、兄は、事故で亡くなったと書かれていたが、あれは嘘だった。本当はCIAに殺されたんだ、クソ」 アーラン「CIAに?・・・」 モフェットは、酒を右手に持ち、口に流し込み、 モフェット「兄は天才だった。俺以上にな。もし俺に力があれば、兄を殺した奴に復讐をしてやるんたが・・・」 アーラン「兄さんは何をしていた?」 モフェット「科学者で、ある計画に関わっていた」 アーラン「ある計画とは?」 モフェット「AIRWOLF計画だ。兄の話では、音速で飛行できるヘリを開発していたそうだが・・・」 アーラン「AIRWOLF計画か・・モフェット、おまえの望みを叶えられるかも知れんぞ」 モフェット「・・・・」 アーラン「私が今日言ってきた所は、CIAなんだ。私もその計画に興味があってね」 モフェット「おい、それって、まさか・・・」 アーラン「そのヘリは、すでに完成していたよ」 アーランは、モフェットにファイルを手渡す。 アーラン「AIRWOLF3、コードネームは、『BLACK WOLF』。どうだね、このヘリがあれば君の念願は達成できるんじゃないか?」 モフェット「盗むつもりなのか?」 アーラン「私もそのヘリが欲しいんでね」 モフェット「ふっ、いいだろう。それで、CIAにはどうやって乗り込む気だ?」 アーラン「すでに作戦はある・・・」 一週間後、ヴァージニア州のCIA地下施設レベル2にでは、ダークエンジェルの指揮により、ブラックウルフの再テスト飛行が行われようとしていた。彼は、地下ホールにあるエレベータに乗り、上の階へ上る。エレベータの扉が開くと、そこにはコンピュータルームがあり、数十人の若いオペレーション員達が席に着いていた。ダークエンジェルは、巨大なモニターの前にある、自分の席に座った。 ダークエンジェル「今からブラックウルフの再テストを開始する。全員各持ち場に着き、指示をするまで待機するように・・・」 地下施設レベル5の男子用更衣室の中には、ブラックウルフに乗る三人のテストパイロット達がいた。彼らの年齢は平均30歳ぐらいで、まだ若い軍人だった。そのうちの一人が、ロッカーを開け、ブラックウルフ用の黒いスーツに着替えていた。彼の名は、ウォルター・クラント。年齢は38で、ベテランのパイロット。他の二人、フェリック・モーラン、アルフレッド・キルメルらと共にブラックウルフのテストパイロットに任命された。 ウォルター「しかし、すごいよな。上からの命令でCIAで一日働ける、しかも二週間の休暇つきときた」 アルフレッド「まったくだ。こんないいチャンスに巡り合うなんて俺達もついてるよな」 フェリック「アルフレッドは休日をどう過ごすんだ?」 アルフレッド「そうだな・・・できればフロリダに行ってバカンスを楽しみたいね。フェリック、おまえは?」 フェリック「俺は・・・そうだなヨーロッパにでも行ってのんびりしたいね」 アルフレッド「フェリック、悪いことは言わねぇ、ヨーロッパはやめとけ」 フェリック「どうして?」 アルフレッド「まず飯がまずい。それにおまえは、時差ぼけが激しいだろ?いつかオーストラリアに行った時もそうだ。三日間寝込んで何もしなかっただろ?」 フェリック「悪かったな」 アルフレッド「ウォルターはどうする?休日はどこへ行くんだ?」 ウォルター「俺は・・・釣りにでも行くかな」 フェリック「釣りだって?二週間も?」 アルフレッド「ウォルター、おまえ夢が全然ないな。釣りよりラスベガスなんてのはどうだ?」 着替えを済ませたウォルターは、二人より先にロッカーを閉める。 ウォルター「確か、テストは10時からだったよな」 アルフレッドは、自分の腕時計を見て、 アルフレッド「後20分はある。まぁ、気楽に行こうぜ」 ウォルター「じゃあ、俺は何か飲み物でも買ってくるかな」 フェリック「わりぃな。じゃあ俺はコーラで」 アルフレッド「俺はコーヒーのブラックで。砂糖とミルクは絶対入れるなよ」 ウォルター「わかってるよ」 ウォルターは、更衣室を出て、長い通路を歩き始める。その直後、ロッカー室のドアの前に2つの黒い影が映る。その影は、ドアを開け、中に入ると、ゆっくりとアルフレッドとフェリックのそばに歩み寄る。 ウォルターは、自動販売機に金を入れ、コーラのラベルの貼ってあるボタンを押す。コーラとコーヒーの入った紙コップを3つ持ち、ロッカー室のドアを開け中を覗いたウォルターは、驚愕し、持っていた紙コップを落とした。そこには、血まみれになったアルフレッドとフェリックの死体が転がっていた。二人の着ていた黒いスーツは剥ぎ取られていた。 ウォルター「いったい何があったんだ・・・まさか・・・」 ウォルターは、更衣室を出て、通路を走り、ブラックウルフの元へ急いだ・・・。 |
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