■ 超音速攻撃ヘリ新エアウルフU〜ミレニアムエピソード〜指令・ブラックウルフを撃墜せよ! ■ <前編3> 〜奪取〜 地下施設レベル4ブラックウルフ管理室の扉の前に一人の警備員が立ち、ウォルター達が来るのを待ち構えていた。警備員は、何度も腕時計を見ながら、 警備員「後10分・・・まだ来ないのか・・・」 その時、警備員の前の暗い通路の奥から、6つの緑色の光が表れた。その光は、しだいに近づいてきて、やがて黒いスーツを身に付け、ヘルメットを被った2人の男が姿を表した。 2人が身につけている黒いスーツは、ユニフォームになっており、両肩には、狼のマークのついたワッペンが光っている。緑色の光の正体は、彼らが被っているヘルメットにつけられているレンズの光だった。ヘルメットは、バイザーが下りていて、警備員は、2人の顔を確認できないでいた。 警備員「もう一人は?テストパイロットは、3人と聞いてるが・・・」 男「彼は今日熱があって来られないそうだ」 警備員は、二人の名札を確認する。それには、アルフレッド・キルメルとフェリック・モーランの名前が書かれている。 警備員「本人か?まぁ、いい、早くしなよ、後5分だから」 警備員は、鉄の扉にIDカードを入れる。厚さ5cmの扉がゆっくりと左右に開く。二人のパイロットが前進しようとした時、警備員が声をかけた。 警備員「作戦は知っているよな。あのヘリで飛び、東に進んでいくと、戦車や何やらがいくつもある。武器は全て本物だ。もちろんあのヘリもな。一人はフライトコントロールを使用し、もう一人は、フライトシステムを使用する」 二人のパイロットは、ブラックウルフの元へ向かう。そして機体の右側に進み、コクピットハッチのボタンを押す。ハッチは上下に開き、下の方から足場が出来上がる。ブラックウルフの高さは、車輪から機体まで、人の腰の高さほどあり、その長さ分の足場が出来た。 二人のパイロットは、その足場を上り、コクピットの中へ乗り込んだ。一人は、前に、もう一人は、後ろに入り込んだ。警備員は、壁のスイッチを入れる。ドームの天井がゆっくりと回転して広がり、外光がブラックウルフを照らし出す。その時、廊下を走ってきたウォルターが警備員の元にたどり着き、彼に話しかけた。 ウォルター「おい、今すぐドームを閉めろ!」 警備員「ドームを閉めろだと?おまえ誰だ?」 ウォルター「ウォルターだ。ウォルター・クラント。あのヘリのパイロットだ」 警備員「え、でも、彼らは君が熱を出しているって」 ウォルター「ウソだ。奴らはニセ者で、本物のアルフレッドとフェリックは、殺されたんだ」 ウォルターと警備員が話す中、ブラックウルフのハッチは、閉ざされる。パイロット席に座っていた一人の男が、ヘルメットの右側にあるスイッチを押す。男のバイザーがゆっくりと上がる。ウォルターの目に、姿を表した男の顔が映る。それは、紛れもなくジョン・モフェットだった。彼は、ウォルターを見つめると、左手でスタートボタン1を押した。ブラックウルフのメインローターとテールローターがゆっくりと回転し始め、その回転はしだいに速さを増していく。 ウォルター「早く閉めろ!盗まれたら一大事だぞ!」 警備員は、壁のスイッチを押す。しかし、天井は、ますます開いていく。ブラックウルフのメインローターから発する風は、まるで、ハリケーンのようで、ウォルターと警備員に強く吹きつけている。モフェットは、パイロット席の左にあるコレクティック・ピッチ・レバーを上へ持ち上げる。ブラックウルフは、車輪を格納し、どんどん上昇する・・・。 地価施設1階のコンピュータルームにいるダークエンジェルは、コンピュータの電子時計を見つめていた。 ダークエンジェル「そろそろだな。よし、シャッターを開ける時間だ」 施設の外にある茶色い土で覆われた大地に、巨大な穴がぽっかりと口を開けた。その穴の中から長いローターがゆっくりと姿を表した。それは紛れもなくブラックウルフだった。シャッターは、閉まり、また元の大地の姿に戻る。 ダークエンジェルは、手元のマイクを取り、ブラックウルフに指示を始める。 ダークエンジェル「私はこの施設の責任者のダークエンジェルだ。今からエアウルフVの再テストを開始する」 「・・・・・」 しかし、ブラックウルフからの応答はない。 ダークエンジェル「ウォルター・クラント、聞いてるのか?」 ダークエンジェルの手元に設置されているスピーカーから男の声が聞こえてくる。モフェットの声だった。 モフェット「私は、ウォルターではないぞ、ダークエンジェル」 ダークエンジェル「何だと?」 ダークエンジェルがそう言った直後、エレベーターの扉が開き、ウォルターが表れた。ウォルターは、ダークエンジェルの元に駆け寄り、 ウォルター「ダークエンジェル、奴らはニセ者だ。アルフレッドとフェリックが殺された」 ダークエンジェル「殺されただと・・・じゃあ、ヘリに乗ってるのは、一体・・・」 スピーカーから、モフェットの声が聞こえる。 モフェット「このヘリは、私の兄の計画を元に作られた。だからお前達CIAのものではない」 ダークエンジェル「大人しくそのヘリから降りるんだ。君らに扱える代物ではない」 モフェット「だったら、テストは我々が代わりにやってやろう。我々の腕前をとくとその目に焼き付けるんだな」 ウォルターが、マイクに割って入り、 ウォルター「どの道、盗むつもりだろ?よくもアルフレッドとフェリックを殺しやがったな」 モフェット「殺すつもりはなかったが、少々てこずってな。ああ言う結果になったのは、とても残念だ」 ダークエンジェルは、ウォルターからマイクを奪い取り、 ダークエンジェル「目的は何だ?なぜブラックウルフの事を知っている?」 モフェット「目的は、兄を殺したお前達に復讐をすることだ」 ダークエンジェル「復讐?・・・私は君の兄の事など、知らん。何かの間違いだ」 モニターに映るブラックウルフは、正面を向いた。その姿は、まるで狼が口を開けているようで、耳を持ち、鼻を持ち、立ち毛を持つ強大な黒狼そのものだった。 飛び上がったブラックウルフを施設に設置された何台ものカメラが追う。また、衛星通信からの映像も含め、モニターには、あらゆるアングルでブラックウルフが映し出されている。ブラックウルフは、推進力140ノットのスピードでゆっくりと飛行を始めた。辺りは、切り立つ岩や山が立ち並び、速度を上げて飛行するには危険な場所だった。コクピット後ろのフライトトステムをコントロールするパイロットは、左手でボタンを押し、バイザーを上げる。顔を出したのは、アーラン・ライフェルである。彼の周囲には、コンピュータとレーダー、攻撃システムなど数多く設置され、彼の目前には、モニター画面が取り付けられている。画面には、彼らのヘルメットにつく左右と上部のカメラの映像を映し出すことができ、赤外線やナイトスコープも、このシステムについている。上部のカメラは、モフェットのバイザーからの映像と、パイロット席のモニターの映像も確認することができる。 アーランは、右のモニター画面を円形のレーダーに切り替える。レーダーは、3Dで映し出されている。アーランは、レーダーを見ながらモフェットに言った。 アーラン「モフェット、この先にヘリが4機いる。TU−36型、3キロ先で待機中」 モフェット「わかった。スピードを最大に上げる」 モフェットは、右手のサイクリック・ピッチレバーを前に倒した。ブラックウルフのスピードは、320ノットの最高速度までに達し、高い岩山の間を、左右に機体を振り向けながら潜り抜けた・・・。 |
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