■ 超音速攻撃ヘリ新エアウルフU〜ミレニアムエピソード〜指令・ブラックウルフを撃墜せよ! 

 

<前編4> 〜作戦〜

 

 コンピュータルームでブラックウルフの監視をするダークエンジェルは、沈黙する。そんな彼に、ウォルターが話しかけた。

ウォルター「爆撃しましょう。それしか方法はない。この際、軍の戦闘機全てを使って」

ダークエンジェル「50億ドルの航空機をか?君は、国家の財産を灰にさせるつもりか?」

ウォルター「そんなこと言ってる場合ですか?あのヘリの恐ろしさは、あなたが十分熟知しているはずだ」

その言葉を聞いたダークエンジェルは、さっと立ち上がり、ウォルターに向かって激しい言葉をかける。

ダークエンジェル「ブラックウルフを盗まれたのは、君らのせいだぞ。責任は、必ず取ってもらうからな」

ウォルター「ああ、2人の友人が犠牲になったんだ。俺は、奴らを絶対許さん。どんな手を使ってもあのヘリを奪い返してやる」

ダークエンジェル「・・・悪かった。つい感情的になってしまって・・・。しかし、対抗すると言っても、ブラックウルフには、どんな兵器もきかないんだ。なにぶん、ステルスより頑丈な機体で、ダイヤモンド並みの硬さだからな」

ウォルター「打つ手はないって事ですか・・・」

ダークエンジェルは、座席に座り、モニターに目を向けた。

ブラックウルフは、低空で飛行を続けていた。ブラックウルフの先端は尖っていて、これで空気を上下左右に切って進められる。また、それで切る空気により、音が鳴り、その音は、狼が獲物に向かって吠えるような感じである。ブラックウルフが、2、3つの岩山を越えた時、アーランは、レーダーに目を向け、コントロール席のモフェットにこう言った。

アーラン「モフェット、レーダーにTU−36の壁が映っているぞ。攻撃態勢に入るか、スピードを200から240ノットに落とさないと、衝突率は、80%だ」

モフェット「上空へ回避した場合、レーダーに捉まる可能性は?」

アーラン「ミサイルが来る事も想定した妨害予想率は、40%」

モフェット「攻撃準備だ。武器を選択しろ」

アーラン「ツインスライクミサイル2秒で使用可能。50mmチェーンガンも使用できるが、この際、余計な弾など使わず、レーザーを使うのが最も有効的だと思うが」

モフェット「レーザーだと?そんなものもついてるのか?面白い、試してみよう」

アーランは、右側のコンピュータに手を伸ばし、武器システムの『LASER』のボタンを押す。ブラックウルフの先端が上がり、中から四角いノズルが表れる。その頃、TU−36型ヘリコプター4機は、ブラックウルフの飛行を妨害するため、上下に分かれ、飛行を始めた。

施設のダークエンジェルは、TU−36ヘリからの通信を待ち続けていた。暫くして、彼の手元のスピーカーから声が鳴り出す。

パイロット「こちらTU−36、番号3728・・・現在ブラックウルフは、まだ確認されていない」

ダークエンジェル「こちら施設本部のダークエンジェルだ。できるだけ攻撃は控えて、ヘリを妨害してくれ」

パイロット「わかりました。全機に伝えます」

ダークエンジェルは、スピーカーを切り、無言になった。その直後、TU−36型ヘリ4機のうちの下で待っていた1機が突然大爆発を起こした。残りのヘリにも、前方から3つ青い光線が迫ってきた。3機のヘリは、その光を浴びると一瞬のうちに爆発し、炎となって地面に落ちた。光が発射された方向からブラックウルフが表われ、320ノットの速度で飛んで行った。

施設では、オペレーション席に座る管制員の一人の若者が立ち上がり、ダークエンジェルの元に駆け寄りこう言った。

管制員「ダークエンジェル副長官。TU−36型ヘリ全機の通信が途絶えました。多分全滅したものと思われます。レーダーには、ミサイルなどの武器は確認されませんでした・・・」

ダークエンジェル「ブラックウルフ用のスーパーレーザー銃だ。3000度以上の高熱の光線が出る仕組みになっている。あまりの速さで、レーダーにも映らない。一瞬で10から20発の光線を出し、0.5秒で敵を粉砕する・・・」

隣の席に座っていたウォルターが声を上げた。

ウォルター「あのヘリにレーザーがついてるなんて話は聞いてないぞ」

ダークエンジェル「今回の作戦では、レーザーの使用は禁止にしていたんだ」

ウォルターは、目の前の巨大モニターに目を向けた。衛星からの映像でブラックウルフは映るものの、レーダーに映らないため、現在位置を確認するのは困難だった。

一方、ブラックウルフは、低空飛行を続けていた。モフェットがアーランに話しかけた。

モフェット「そろそろ向こうに姿でも見せてやるかな。レーダーの方はどうだ?何か来るか?」

アーラン「スキャナーでF−14トムキャットを確認した。レーダースコープには、5時方向に映ってる。狩りでもするか?」

モフェットは、右手のサイクリック・ピッチ・レバーを後ろへ倒す。ブラックウルフは、滑り上がるように高く舞い上がり、高度は、一気に2000〜3000mまで急上昇した。

施設のコンピュータ室のレーダーにブラックウルフが映った。ダークエンジェルは、周りに指示を送った。

ダークエンジェル「この際止む終えん、ミサイルで攻撃態勢に移る。F−14にも攻撃命令を下せ」

施設の外から4連装ミサイル戦車が前進している。戦車はある地点で立ち止まり、ミサイルを三発発射した。F−14もブラックウルフを追う。

アーランは、レーダーに目を向け、こう言った。

アーラン「7時方向から、熱追跡ミサイル3発。約40秒後に到着する」

モフェット「ミサイルが来る前に、後のハエでも落としてやるかな」

モフェットは、ヘルメットの左のボタンを押し、バイザーを下げる。左右のレバーを操り、ブラックウルフの機体をUターンさせ、F−14に向かった。2機のF−14は、ブラックウルフに向けて、ミサイルを発射した。2発のミサイルがブラックウルフに当たる直前、ブラックウルフの先端から青い光線が放たれ、2発のミサイルは同時に爆破した。レーザーは、1機のF−14にも当たり、爆炎を上げた。もう一機のF−14からミサイルが発射されるが、ブラックウルフは、それをあっさりとかわした。ミサイルは、地上に落下し、燃え上がった。

アーラン「4時方向から来る熱追跡ミサイルは、後25秒でこちらに来る」

モフェット「妨害装置を作動させろ」

アーラン「作動させたとしても有効確立は、30%だ」

前方からF−14、そして後方から熱追跡ミサイルがブラックウルフに刻一刻と迫ってくる。とっさにモフェットはある事を思いついた。

モフェット「ライフェル、スーパー・サン・バーストをセットしろ」

アーラン「・・・わかった」

アーランは、攻撃システムの、「SUPER SUN BURST」のラベルのついたボタンを押す。レーダーに映るミサイルは、到着まで、後12秒に迫っていた。ブラックウルフは、F−14に突進し、衝突寸前で一気に高度を上げた。そして同時に、モフェットは、スーパー・サン・バーストを発射させた。ブラックウルフの左側の装甲板が開き、小さい卵形の弾が飛び出した。それは、F−14の真上で強力な光を発し、F−14の機体を包み込んだ。

パイロット「なんだ、何が起こったんだ?白い光のせいで周囲の視界が見えない・・・クソ、どうなっているんだ?」

F−14の機体に3発の熱追跡ミサイルが突っ込んだ。

施設の映像に、F−14が炎を上げ、落ちていく姿が映し出され、ダークエンジェル達は、呆然としていた。ウォルターは、突然拳で机を殴り、ダークエンジェルに言った。

ウォルター「これで十数人が犠牲になった。もう、どうする事もできないのか?」

ダークエンジェル「やはりこれだけの戦力では、ブラックウルフは、止められないか・・・」

ブラックウルフの中では、モフェットとアーランの高笑いが響いていた。

アーラン「ふっふふ・・・まさかこれほどの力を持っているとは思ってもみなかった。すでに100%完成していると言ってもいい」

モフェット「全くだ。だがCIAがそう簡単に諦めるわけがない。また何かを仕掛けてくるはずだ」

アーラン「いっそのこと、施設にも攻撃を仕掛けるか?」

モフェット「いや、弾の無駄だ。それより、まだ試してないものがあっただろう?」

アーラン「何をだ?」

モフェット「このヘリの特別なタービンを使おうと思ってね」

アーラン「ジェット・タービンの事か?確か、超音速で最高速マッハ4で飛行できるとダークエンジェルが言ってたな」

モフェット「マッハ4だと?そんなスピードで飛べるのか?」

アーラン「まぁ、試しにやってみるか」

アーランは、手前のターボ調節システムを回した。そのシステムは、タービンの速度を回転式のダイヤルでレベル1からレベル4まで切り換える事ができる装置である。アーランは、ダイヤル「1」をセットし、ターボ・エンジンを起動させた。

アーラン「まず、手始めにマッハ1を出してみるか」

モフェット「しっかり捕まってろ、ターボ・イグニション、スタンバイ」

アーラン「OK」

モフェットは、サイクリック・ピッチ・レバーの「TURBO」のボタンを親指で押した。ブラックウルフ後方の左右のタービンから赤い炎がバンと噴き出し、ブラックウルフのスピードがみるみると上がり始めた。マッハ1強と言う超音速のスピードで、ブラックウルフは、東の空へと飛んで行った。

 施設のレーダーからブラックウルフが消えた。モニターは、何も映らず、ダークエンジェルと、ウォルターは、沈黙を続けていた・・・。

 

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