<第20特殊作戦飛行隊>
翌日の正午、二人はフロリダ州ハルバートフィールド空軍基地のゲートに空港で借りたレンタカーで乗り付けた。
既にマークから連絡が来ていたらしく、ゲートをすんなりと通って警備員に教えられた道を通って第16特殊作戦航空団の司令部に向かった。
モンタナ・シルフィールド大佐「カンパニー(CIAの俗称)は何時もこうだ。パイロットを貸せだ、ヘリを貸せだ・・・・ブツブツ」
執務室で二人を出迎えた第16特殊作戦航空団所属第20特殊作戦飛行隊司令官、モンタナ・シルフィールド大佐は見るからに不機嫌な様子で開口一番に愚痴を言い始めた。
ジョン「大佐、我々は貴官の愚痴を聞きに着たのではない。空軍士官学校校長のマーク・リーバース少将からの正式な紹介でパイロットを探しに着たんだ」
モンタナ「ふん・・・パイロット泥棒め」
ストリング「おいおい、俺達の名前は泥棒じゃない。俺はストリング・フェロー・ホーク。こっちはセント・ジョン・ホークだ」
モンタナ「セント・ジョンにストリング・フェロー・・・・どこかで聴いたような・・・」
モンタナは二人の名前を聞いて考え込むように愛用の椅子に座り、執務机の引き出しから取り出した棒付きキャンディーを咥えながら少し考えた。
モンタナ「思い出したぞ! 73年のハノイの酒場だ。こっちがいい気分で酒を飲んでたらそっちが『空軍は固定翼だけに乗れ』ってバカにして・・・」
ジョン「俺も思い出したぞ。そっちも『陸軍は地面に張り付いていろ』なんて言うから乱闘になったんだったな」
モンタナ「あの右ストレートは効いたぞ」
ストリング「そっちの左フックだって効いたぞ」
3人「・・・・・・ふふ・・ふはははは!!」
今までの険悪な雰囲気は消え、部屋には和んだ空気が流れる。
モンタナ「大騒ぎはMPどもが来てお終い、3人とも営倉に放り込まれて一晩中罵りあったもんだ」
ストリング「ところがどっこい、3人とも翌日は作戦があって朝には釈放だ」
ジョン「たんこぶと二日酔いで頭が痛むのに作戦で一緒に飛ぶことになった空軍のヘリのパイロットが・・・」
モンタナ「俺だった」
自分を指差しながらモンタナは楽しそうに笑みを浮かべた。
モンタナ「誰がこんな連中と飛ぶかと思っていたがな。いざ飛んでみるとお前さん達の操縦には恐れ入ったもんだぁ」
ジョン「あんたの操縦技術だって凄いもんだぞ」
ストリング「ああ、それに度胸もあった。べトコンどもがバカスカ撃ちまくってくる中を躊躇わずに着陸して取り残された兵士を助けるなんて早々出来るもんじゃないからな」
モンタナ「お前さん達も度胸があった。待てよ、確か・・・ジョン、お前さんがベトナムで行方不明になったって噂を聞いたが?」
ジョン「あの戦争の終わり頃に捕まってね。しばらく、あっちの別荘に居たんだ」
モンタナ「・・・・・・・あの戦争が終わった後、俺が所属していた第1SOW(特殊作戦飛行隊)はベトナム領海ギリギリまで強襲揚陸艦で近づいて何度もベトナムのレーダーを掻い潜って捕虜を探しに行った。だが、何時も目星を付けていた場所は空だった」
場に重い空気が流れ、沈黙が訪れる。
その沈黙を破ったのはストリングだった。
ストリング「そう言えば・・・俺の記憶じゃあ、あんたは何時もタバコを咥えてたへヴィースモーカーだったはずだがタバコは辞めたのか?」
モンタナ「娘がタバコ臭いって言うもんだからな。タバコの代わりにキャンディーを舐めるようになったって訳さ。まあ、今度はキャンディー中毒になったがな」
ジョン「娘さんが居るとは初耳だな」
モンタナ「戦争が終わって帰国した後に結婚してな、15年前は可愛い双子だったんだが今じゃ美人の双子だ」
モンタナは二人にデスクに立てられた写真を見せた。
写真にはフロリダの大学の校舎の前でモンタナが年齢18歳ぐらいのブラウンヘアーの双子の女性と一緒に写っていた。
モンタナ「アヤとユキだ。去年、大学に入学した・・・16年前に女房が事故で死んでから男手一つで育てたんだ。二人に食わせる為に料理も覚えた・・・驚くな、実はお菓子作りの腕はヘリを飛ばすのと同じぐらい上手くなったんだ」
ジョン「・・・俺にも息子が居る。今じゃ29で10年前に空軍士官学校に入って最近になってからNASAに移ったんだ。驚く事に俺の息子は宇宙飛行士の候補生なんだ」
モンタナ「10年前に入学・・・という事はあいつの同期だな」
ストリング「あいつ? 誰の事だ?」
モンタナ「お前さん達、パイロットを探しに来たんだろう? 俺の部下をどんなヘリに乗せるつもりだ?」
ジョン「何でヘリだって分かる? 俺達は一度もヘリに乗せるとは言ってないんだぞ?」
モンタナ「いいか、我が第20特殊作戦飛行隊はヘリ専門の部隊だ。まあ、支援機にコンバットタロン(MC−130。C−130輸送機のの特殊作戦部隊支援仕様)を使ってるがほとんどがヘリパイロットだ。」
ストリング「こりゃぁ・・・話すしかないな?」
ジョン「俺が話す。実はな・・・」
モンタナ「噂は聞いた事がある。よくある都市伝説の一つだと思っていたが・・・まさか、超音速ヘリが実在したとはな」
二人からエアウルフの事を聞かされたモンタナは未だに信じられないといった表情だった。
ジョン「俺達二人はもう歳だ。エアウルフを飛ばしたら四十肩で肩が使い物にならん」
モンタナ「歳か・・・俺ももう直ぐ退役だ。とりあえず、俺の部下で一番腕のいい奴を貸そう。あいつならそのエアウルフを操縦できるはずだ」
ストリング「そのパイロットの名前は?」
モンタナ「コールサインは『ハートブレイク・ツー』・・・本名はインディアナ・カタヤイネン、階級は中尉だ。そろそろ訓練飛行から戻ってくるはずだからここに呼ぼう」
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