ラスト・サムライ

THE LAST SAMURAI(2003年/アメリカ)

監督 エドワード・ズウィック

出演 トム・クルーズ(ネイサン・オールグレン)
   渡辺謙(勝元)
   真田広之(氏尾)
   小雪(たか)
   ビリー・コノリー(ゼブロン・ガント)/他


日本の時代劇と言えば、これまで日本だけで作られるものと言う概念が当たり前のようにありましたが、21世紀に入って、ついにハリウッドの映画監督によって製作されました。鋭く凄まじい精神世界と、壮大なスケールで描かれる戦闘シーン。もはや今までの日本の時代劇を一瞬にして凌駕してしまった。研ぎ澄まされたリアルなアクション描写にも圧倒させられ、ハリウッド・マジックにかかれば、時代劇も現代アクション映画並みの迫力を持つことを思い知らされました。

近代国家建設のため、天皇に雇われ、日本の軍隊の教官に着任したオールグレンが、侍達に共感し、交流しながら、日本の心を理解し、そして、日本語を覚え、姿、精神共に日本人になっていく。美しい山々や村、村民達の生活をありありと描写した日本の風景は、かつて、日本人が持っていた日本の心の姿を垣間見るようで、とても感動しました。しかし、あれがニュージーランドだったとは、驚きです。

トム・クルーズが日本の鎧をまとって馬にまたがり、刀を振り回して戦う姿なんて、今まで想像することもありませんでしたが、中々、はまっていました。後半からは、もうほとんど日本人に見えてしまいました。NHKの大河ドラマ『独眼流政宗』で、凛々しく勇ましい政宗を演じた渡辺謙さんが、サムライの戦士「勝元」を演じられていましたが、『独眼流』で豊臣秀吉を演じた勝新太郎さんのように、鬼気迫るオーラが漂っていました。真田さんが寡黙に演じた氏尾も、中々カッコ良かった。トム・クルーズに木刀で剣術を身に付けさせるシーンでの体の身のこなしは、まさに、日本の時代劇やアクション映画で培われてきたものを凝縮していたようにも見え、とても素晴らしかった。そう言えば、渡辺さんと真田さんは、『独眼流政宗』でも共演していましたね。刑事ドラマの犯人役や、時代劇の切られ役で御馴染みの福本清三氏もオールグレンの監視役で出演されていましたが、今までの日本の映画やドラマ以上に、この映画の中で活躍されている姿を見ることができて、とても良かったです。

クライマックスシーンは、『七人の侍』『里美八犬伝』『激突・将軍家光の乱心』などの映画を彷彿とさせる展開でしたが、サムライ達が自分の命をかけて、信念を貫き、戦う姿は、どんな時代であろうと感動します。


かつて名誉と国のために戦ったアメリカの戦士ネイサン・オールグレン大尉は、日本の帝国陸軍を訓練する教官として、日本の天皇に雇われ、明治維新直前の日本に渡った。天皇の側近達は、外国貿易を活発にする近代国家を建設するため、何世紀にもわたり、日本に君臨してきた「サムライ」討伐を企てていた。オールグレンの軍隊は、「勝元」が指揮するサムライ達と真っ向から勝負を挑み・・・。


 

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