ブルース・ブラザーズ
THE BLUES BROTHERS(1980年/アメリカ)
監督 ジョン・ランディス
出演 ジョン・ベルーシ(ジェイク)
ダン・エイクロイド(エルウッド)
キャリー・フィッシャー
ジェームズ・ブラウン
レイ・チャールズ(レイ)
ヘンリー・ギブソン(ナチ指揮官) /他
70年代にカーアクションムービーの名作が次々と登場したが、80年代に入ってすぐまたもやとんでもない映画が出現した。アクションとミュージカル映画を融合させた新感覚のコミカルムービー。かつてこれほど壮大でお馬鹿な映画があっただろうか。『サタデーナイトクラブ』から飛び出したスーパーコメディアン、ジョン・ベルーシとダン・エイクロイドのコンビが演じる黒づくめの衣装を身に着けたブルース兄弟が自分達の育った孤児院を救うため、バンドを結成して一儲けしようとするのだが、その道のりで警察のパトカーと白熱のカーチェイスを繰り広げたり、ナチ党と呼ばれる謎の団体に追われたり・・・。『スター・ウォーズ』のお姫様役で有名なキャリー・フィッシャーが演じる女がまたとんでもない奴で、バズーカーやら火炎放射器まで持ち出して、ブルース兄弟の住むアパートや燃料タンクを破壊しまくる。もうなんでもありのハチャメチャな展開。どんな目に会おうと二人は、不死身なのです。
ブルース兄弟の愛車「バット・モービル」ならぬ「ブルース・モービル」は、どう見ても、普通のダッジにしか見えないのだが、エルウッドがハンドルを握れば、スーパーマシーンに早変わり。何十台ものパトカーが追って来ようがへっちゃら。20台以上のパトカーが繰り広げるシカゴ市街の壮絶なカーチェイスシーンは、もはや映画史の伝説となっている。ごみダメのように次々と山積みに重なってクラッシュして行くパトカーを見ていると実に爽快な気分になれる。これを見ちゃったら、もう『フレンチ・コネクション』のカーアクションは、物足りない。
ミュージカル部分で流れる音楽は、未だに日本のバラエティ番組でもよく耳にする事が多いですが、個人的には、「PETER GUNN」のテーマや、アレサ・フランクリンがパワフルかつダイナミックに歌う「THINK」、キャブ・キャロウェイの白熱のスキャットが聞ける「MINNIE THE MOOCHER」がお気に入り。そして、コンサートでブルース兄弟が歌う「EVERYBODY NEEDS SOMEBODY」も最高。劇中にミュージカルの演出を取り入れた映画は、最近では、『少林サッカー』などがありましたが、この映画に出てくるエキストラの数は、半端ではなかった。街の中で何百人もの人が一斉に踊り出す場面は、圧巻の一言。ブルース兄弟のファッションスタイルと不死身さ、カーアクションのノリは、日本では、劇場版の『あぶない刑事』シリーズにも受け継がれているような気がします。
ナチ党のリーダーは、『ナイトライダー』にもゲスト出演していたヘンリー・ギブソン。作りかけの高速で『ブルーサンダー』や『ストリート・ホーク』も顔負け・・・いやいや、ナイト2000にも真似はできないブルース・モービルの宙返りジャンプが見られる。ナチ党の車は、その後、とんでもない高さからダイビングしてしまうのですが、あのシーンは、ヘリで車を釣り上げて、上空から落としたそうです。デイリー広場のビル郡の中で繰り広げられる大逃走劇は、ベル社のジェットレンジャーやシャーマンM4戦車まで登場し、エキストラ、州兵200人以上集めてのこれまた伝説のパニックシーンが見られる。いや、コメディ映画一つでここまでやってしまうなんて、まさに「神」の領域の映画だ。
刑務所を出所したジェイクを待ち構えていたのは、弟のエルウッド。孤児院を救うため、二人は、バンドを復活させる事を決意する。しかし、メンバー探しを始めた矢先、またもや二人は、警察に追われる事に・・・。