デッドリー・フレンド
DEADLY FRIEND(1986年/アメリカ)
監督 ウェス・クレイブン
出演 クリスティ・スワンソン(サマンサ) |
『エルム街の悪夢』『スクリーム』シリーズのウェス・クレイブン監督が作ったSFホラー。しかし、この作品、単なるホラーとしてだけでなく、コミカルな青春物語としても描かれているのですが、シーンが進むに連れ、もの悲しさに満ちたホラー映画へ様変わりしていく辺りは、既存のホラー映画とは、一線を画した作品となっています。やはり、ホラー映画界の巨匠たるゆえの技とでも言うべきでしょうか。
高校生にして、人工頭脳を作れるほどの才能を持つ主人公の天才少年ポールが新しい町に引っ越してきたところから物語が始まるのですが、ポールが知り合った隣の家に住むガールフレンドのサムは、自己中心的で、暴力的な父親に、度重なる虐待を受け、いつも父親に殺される夢にうなされ続けている悲劇のヒロイン。ある日、サムの悪夢が現実となり、彼女は、父親に階段に突き落とされて、植物人間になってしまう。15歳の若さでこの世を去り行く友人を見るに見かねたポールは、自分が開発した「ビービー」と呼ばれるロボットのマイクロチップを彼女の頭に埋め込み、彼女を生き返らせることに成功する。ところがサムは、人間としてではなく、サイボーグとして甦ってしまいます。これは、まさしく80年代の『フランケンシュタイン』。人間の言葉も感情も理解できず、ビービーそのものが乗り移ったかのように、サムは、攻撃心を剥き出しにし、次々と周囲の人間達を血祭りにあげていきます。ポールは、殺人マシーンと化したサムをひたすら信じ続けようとするが、彼の想いとは、裏腹にサムの暴走は、過激さを増していく・・・。クライマックスで、サムが一瞬だけ人間に戻り、ポールに助けを求めるかのように彼の名前を叫ぶシーンは、とてもせつない。予想に反した衝撃のラストは、度肝を抜かされす。
自転車共々ずっこけるトムや、やたら、娘を痛めつけるサムの父親ハリー、自分の家に近づくものには、ひたすら散弾銃をぶっ放すエルビラ婆さんなど、ブっ飛んだキャラクター達が逸脱で、コミカルチックな要素を引き出しています。そう言えば、エルビラ婆さんを演じているアン・ラムゼイは、『グーニーズ』でも、コミカルな婆さん役を演じられていました。『ナイトライダー』第52回「謀略!復讐の暗殺車ナイト2000」にもチョイ役で出演されています。
それにしても、この映画に登場しているロボット「ビービー」は、『ショート・サーキット』のジョニー5を彷彿させます・・・。
コンピュータの天才ポール一家がある町に引っ越してきた。ポールは、自分の開発した人工頭脳を植え付けたロボット『ビービー』。ある日、ポールは、偶然知り合った同級生のトムと隣に住むサマンサと知り合いになる。