ザ・リング
THE RING(2002年/アメリカ)
監督 ゴア・ヴァービンスキー
出演 ナオミ・ワッツ(レイチェル・ケラー)
マーティン・ヘンダーソン(ノア)
デビッド・ドーフマン(エイダン)
ブライアン・コックス(リチャード・モーガン)
デイビー・チェイス(サマラ)/他
日本でも話題を呼び、映画化された鈴木光司原作の小説『リング』のハリウッド・リメイク作品。呪いのビデオを見た人間達を恐怖に陥れる主人公山村貞子が、アメリカ人をもパニックに陥れる。この映画の中に登場する貞子は、「サマラ」と呼ばれ、貞子同様、ビデオに自分の姿を投影し、奇怪な事件を巻き起こすわけですが、「サマラ」の容姿は、どちらかと言うと、『エクソシスト』のリーガンのようです。新聞記者のレイチェルの息子エイダンは、『オーメン』のダミアンのように見えるし・・・。要所要所でアメリカ・ホラーのテイストも盛り込まれているようで、中々楽しめました。
日本で製作された一連シリーズと見比べると、やはり、映像のパワーは、圧倒的にハリウッドの方が勝っていました。日本版は、日本版なりの独特の恐怖描写があって、それなりに怖い部分もありますが、説明が多く、また、映像的には、間延びしていて、しらける部分も多かったのに対し、ハリウッド版は、画面を青っぽい色調に統一し、CGを効果的に使って、一瞬一瞬の恐怖をこまめに映像化しているところが、素晴らしい。
例えば、呪いのビデオのイメージにある箱の中に入った蛆虫が、悶え、蠢く人間の姿になったり、サマラに襲われた人々のえげつない死に顔や、フェリーのシーンで、馬が突然暴れ出す様子、レイチェルが井戸の中に落ちていく映像など一つ一つのイメージを丹念に描いているのが良い。テレビ画面から現実世界に飛び出してきたサマラがいきなり瞬間移動して、人間に迫ってくるところなど、恐怖の演出にも工夫があって、面白味がある。日本版の貞子がじめっとした感じで、薄い存在だったのに対して、サマラは、圧倒的な存在感があった。内容的にも、ハリウッド版は、一つ一つのイメージをサマラの謎を解く鍵にして、とてもシンプルにわかりやすく作っていた事にも好感を持てた。
新聞記者のレイチェルは、「そのビデオを見ると7日目に死ぬ」と言う噂を耳にしていた。そのビデオを見た4人の少年少女全員が1週間後の同時刻に謎の死を遂げた事を知ったレイチェルは、事件の調査を始める。