恐怖の報酬

THE WAGES OF FEAR LE SALAIRE DE LA PEUR(1952年/フランス)

監督 アンリ・ジョルジュ・クルーゾー

出演 イブ・モンタン(マリオ)
   シャルル・バネル(ジョー)
   ペーター・ファン・アイク(ビンバ)
   フォルコ・ルリ(ルイージ)
   ヴェラ・クルーゾー(リンダ)/他


大規模な油田火災が起こり、それを消化するために使用されるニトロを運ぶため、4人の男達がニトロ缶を満載に積んだ2台のトラックに乗り込んで、500キロ先の火災現場へ向かう。過酷な条件の中で、危険を顧みず、様々なトラブルを乗り越えていく男たちの姿が勇ましい。前半は、食いつめものの男達の人間像が描かれ、後半は、まるで、アクションゲームをしているような感覚のスリリングな走行シーンが描かれている。

500キロの道のりには、様々な難関が待ち構えている。徐行すると、途端に車体が揺れてしまうため、高速で一気に走り抜けなければならない「なまこ板」と呼ばれる起伏の激しい悪路。拡張工事中の山の中腹の道に作られたつり橋の上で方向転換するトラック。トラックの荷台についているひっかけにつり橋を支えるワイヤーがひっかかり、トラックのタイヤが横滑りする場面は、思わずヒヤリとさせられた。道を塞いでいる岩を破壊するために、ビンバとルイージが岩にニトロを仕掛ける場面も、スリリング。仕掛けのハンマーが途中で落ちやしないかとひやひやさせられる。初めは、多額の報酬を手に入れるために血気盛んになっていたジョーが、しだいに恐怖に怯え、弱気な老人になって行く様がもの悲しい。一方、マリオのほうは、どんどん無謀に、狂気に満ちていき、二人が対称的に変貌していくところも面白い。マリオとジョーを見ていると、なぜか『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』のホークとドミニクを見ているような気分になった。ラストシーンは、テレビシリーズ『Uボート』のラストシーンと同様に、不条理で暗鬱とさせられた。

そう言えば、この映画の中に登場する主人公たちの名前が面白い。イヴ・モンタン演じる主人公の名前は、マリオ、そして、フォルコ・ルリ演じる髭面の男がルイージ…任天堂のゲーム『マリオ・ブラザーズ』のマリオ兄弟の名前は、この映画を参考につけられたものなのでは?実際、ルイージ役のフォルコ・ルリの風貌は、マリオとルイージにそっくりである。1977年には、『エクソシスト』のウィリアム・フリードキン監督、ロイ・シャイダー主演でリメイクされているが、そちらのほうは、まだDVD化されていない。ぜひとも、再見したいものです。


メキシコ近くにあるラス・ピエドラスの町には、食いつめもの男達がたくさん集まっていた。ある日、そこから500キロメートル先にある油田で大火災が発生したと言う一報が届く。強力な爆薬「ニトログリセリン」の爆風で、火災を吹き消すことが決まり、2台のトラックでニトロを運ぶため、マリオとジョー、ビンバとルイジの4人の男達が選び出された。4人は、4000ドルの報酬を手に入れるため、ニトロ缶満載のトラックに乗り込み、命がけのドライブを開始した。


 

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