マルコビッチの穴
BEING JOHN MALCOVICH(1999年/アメリカ)
監督 スパイク・ジョーンズ
出演 ジョン・マルコビッチ(本人)
ジョン・キューザック(グレイグ・シュワルツ)
キャメロン・ディアス(ロッテ・シュワルツ)
キャスリーン・キーナー(マキシン)
オースン・ビーン(レスター博士)/他
ナンセンスで不気味、アナーキーなテイストの映画と言えば、一昔前なら、『博士の異常な愛情』や、『未来世紀ブラジル』などが思い浮かびましたが、この映画は、それらをはるかに凌ぐアナーキーさだった。ジョン・マルコビッチは、『ザ・シークレット・サービス』でつい最近知り、『コン・エアー』の凶暴な悪党ぶりも印象深かかったのですが、この映画で、本当は、『面白いおじさん』だったんだなぁと言う事がよくわかりました。それにしても、俳優本人の名前がタイトルになっている映画なんて、前代未聞。そのインパクトにまず驚いた。
第一印象は、何なんだこの奇妙なパラレルワールドは・・・得体の知れないものを見せられている感じでは、ありましたが、その奇妙な世界に、ついつい引き込まれてしまうのです。なぜ、あのマーティン・フレマーオフィスビルの7と1/2階と言う天井の低いフロアに、あのジョン・マルコビッチになれる穴があるのか?下水道のような少しきちゃない穴の中で、突然、水洗便所ごとく勢いよく吸い込まれたら、のそぎ穴を覗いているような状態で、すでにマルコビッチの中にいる。そして、体験後は、なぜかニュージャージーのフリーウェイのそばに落とされてしまう。しかも、たった200ドルでマルコビッチになれてしまい、その設定のハチャメチャぶりに爆笑してしまう。マルコビッチ本人がマルコビッチの穴に入った時のあの異様な世界は、もう、ぶったまげである。このへんてこな世界についていける人は、はたして、どれくらいいるのだろう・・・。そう言えば、予告編の『ゾンビ』張りのおどろおどろしいナレーションも笑えた。シリアスとコメディの境界をいとも簡単に崩してしまう、不気味なパワーのある映画です。
ニューヨークで売れない人形使いをしているグレイグは、新しい就職先を求めていた。新聞の「手先が器用な人求む」と言う求人広告を見たグレイグは、マンハッタンにあるマーティン・フレマー・ビルへ向かう。そこで文書整理の仕事をもらったグレイグは、そのオフィスで、不思議な穴を発見する。