■ 超音速攻撃ヘリ新エアウルフU〜ミレニアムエピソード〜指令・ブラックウルフを撃墜せよ! 

 

<後編1> 〜再会〜

 

二日後、ウォルターにベネズエル、そしてアークエンジェルの三人はオーストラリアを飛び1度アメリカへ帰国した。帰国後、彼らは民間用ヘリを使い西へと向かって飛行した。ヘリを操縦するウォルターが後の席のアークエンジェルに話し掛けた。

ウォルター「まだ遠いのか?そのストリング・フェロー・ホークって人の所」

アークエンジェル「あと二時間だ。かなり山奥に住んでいるから時間がかかる」

ウォルターの左の席に座っていたベネズエルは腕時計を見下す。時刻はPM14:00を回っていた。

ベネズエル「今更言ってもなんだが・・・君らを巻き込んで済まないと思っている」

ウォルター「どうしたんだ?いきなり・・・」

ベネズエル「あのヘリを作らなければ、こんな事にはならなかったんだが・・・」

アークエンジェル「誰にでも失敗はある。もう気にするな」

ウォルター「そうだぜ、ベネズエル。過去の事はもう忘れろ」

三人の前に緑の広がる山々が見え出す。ヘリはその上を飛び、前進していた。二時間後、ヘリはさらに山奥へ突き進んでいた。ウォルターとベネズエルは下を見下ろしていた。

ウォルター「下に湖が見え出した」

ベネズエルがアークエンジェルに話し掛けた。

ベネズエル「彼の家はどこだ?」

アークエンジェルは二人の間に腕を伸ばし、人差し指を前に向ける。二人はその方向に目をやる。湖のそばに建つ一つの山小屋が姿を表わした。ウォルターはヘリを低空飛行させ、木で作られた船場の上へヘリを着陸させた。三人はヘリから降りた。

ウォルター「いい所だが・・・なぜこんな山奥に住んでいるんだ?」

アークエンジェル「彼の父があの小屋を作り、一家で暮らしていたが・・・今は一人で住んでいる」

ウォルター「両親は?」

アークエンジェル「彼が小さい頃に事故で死んだ。そして彼の兄であるセント・ジョンも昔ベトナム戦争で行方不明になり、恋人も二人亡くしている」

ウォルター「恋人が二人もいたのか。結構もてたんだ」

アークエンジェル「言っておくが、その内の一人はホークがエアウルフを取り戻した際に亡くなった。私の部下だったがね」

ウォルター「それは気の毒に・・・。つまり、俺と同じって事か・・・」

アークエンジェル「同じ?」

ウォルター「俺も昔、両親を亡くしたし、友人もブラックウルフの件で亡くしたしな」

二人の会話の間にベネズエルがゴホンと咳き込み、

ベネズエル「そろそろ行かないか?」

三人は山小屋に向かって足を進めた。木の階段を上ると、三人は小屋の中に入った。中には暖炉があり、部屋の中央にはテーブルと腰掛けイスが2つある。左端にはバーのカウンターのようなキッチンがあり、壁の棚には酒の入った瓶が並べられている。その奥には二階に登る階段があり、その壁際には油絵が多く飾ってある。

三人は周りを見回していた。

アークエンジェル「全然変わってないな。昔のままだ」

ウォルターは暖炉の右側に置かれているチェロを見つけ、そこへ近づく。彼がチェロを触りかけた時、突然上から男の声が聞こえる。

男の声「それ触るな!」

三人は階段の上を見上げた。一人の男が階段を下り、三人の前へ姿を表わした。男は年齢45歳。白人。がっちりした体格で、茶色い髪だが、いくつか白髪が入り混じっている。男は三人に向かって喋りかけた。

男「俺に何か用か・・・アークエンジェルか?」

アークエンジェルは男の顔を見て、

アークエンジェル「久しぶりだな、ホーク、元気だったか?」

男は、三人が探し求めていたエアウルフのパイロット、ストリング・フェロー・ホークである。彼はアークエンジェルと顔を合わせ、

ホーク「ああ、あんたも元気そうだな。ところでその二人は何者だ?」

アークエンジェル「ウォルター・クラント少佐と、CIA副部長のダークエンジェル(ベネズエル)だ。ああ、二人にも紹介しよう、彼が・・・」

アークエンジェルが言う前に、ホークは自分から名乗り出た。

ホーク「ストリング・フェロー・ホークだ。座れよ」

彼らは近くのイスに座るとホークに向かって喋りだした。

ホーク「それで、軍人とCIAが俺に何の用だ?」

アークエンジェル「緊急事態だ。手を貸して欲しい」

ホーク「俺に何をしろと?」

アークエンジェル「・・・後で彼らから説明がある。その前に我々に協力する気はあるか?」

ホーク「話しによる。先に話を聞かせろ」

ベネズエルがホークに話し掛けた。

ベネズエル「あなたが持つエアウルフを貸して欲しい」

ホーク「今頃になってエアウルフを貸せだと?」

ベネズエル「エアウルフに内臓されているコンピュータのデータがどうしても欲しいんだ」

ホーク「理由は?」

ベネズエル「エアウルフVの撃墜のためだ」

ホーク「エアウルフVだと?懲りずにまたそんなもの作ったのか?」

ベネズエル「是非協力してもらいたい」

ホーク「俺にそのエアウルフVを破壊させようって気か?笑わせるな」

ベネズエル「いや、エアウルフではエアウルフVに勝てない。それと対等に戦うための別のエアウルフがいるんだ」

ホーク「なら俺が手を貸すまでもない。後はそっちでやってくれ」

ベネズエル「いや、あなたの力も必要なんだ。大統領命令が君にも出ている」

ホーク「やっぱり俺にヘリを撃墜させる気か」

ベネズエル「引き受けてくれるか?」

ホーク「・・・そのヘリを盗まれでもしたのか?」

ベネズエル「ジョン・モフェットと言う男にだ」

ホーク「モフェットだと?奴は死んだはずだ」

アークエンジェルが二人の話に割って入った。

アークエンジェル「弟だ。チャールズ・ヘンリー・モフェット博士のな・・・」

ホーク「初耳だ。16年前にエアウルフを取り戻しに行った時、あんたはそんな話し一言もしなかった」

アークエンジェル「私も彼に弟がいるとは知らなかった。博士も弟の事は何も言わなかったし・・・」

ホーク「その行動から察して、まるで奴の生き写しだな」

アークエンジェル「世界を守るためだホーク」

ホーク「・・・エアウルフはない」

三人はホークの言葉に耳を疑う。

アークエンジェル「ホーク、嘘は言わんでくれ。エアウルフは君が持っているはずだ」

ホークは真剣な眼差しを三人に向け、

ホーク「・・・ないものはない。それに今回は俺が出るまでもない。夕食の魚を釣ってくる」

ホークは立ち上がり、小屋の入口のそばに置いてある釣り竿を持って出て行った。

アークエンジェルとベネズエルは暫くの間無言になっていた。10分ほど経った頃にウォルターが二人に話し掛けた。

ウォルター「彼はどうしてこの件に反対しているんだ?別にエアウルフを貸してくれてもいいんじゃ・・・」

アークエンジェル「ホークはこれまで多くの友人を目の前で亡くしてきた。だから自分が出る事によって、また誰かを犠牲にする事を恐れているんだ」

ウォルター「じゃあ、どうすれば・・・」

アークエンジェル「説得を続けるしかないだろうな。彼は昔から頑固なところがあったし・・・」

ベネズエルは立ち上がり、二人に言った。

ベネズエル「どうやら無駄な時間を費やしてしまったようだ。アークエンジェルさん、私は1度CIAに戻って別のエアウルフの元へ行って来る。早く取り掛からなければこの作戦は失敗する」

ウォルター「俺も行くよ」

ベネズエル「おまえはここに残って、彼を説得してくれ」

ウォルター「俺が彼を?無理だ」

ベネズエル、おもむろにズボンのポケットから1セントのコインを取り出し、

ベネズエル「じゃあ、コインで決めよう」

ウォルター「汚いぞ、ベネズエル。そりゃあ俺の専売特許だ!」

ベネズエル「表が出たらおまえは残る。裏が出たらおまえの好きにしろ」

ベネズエルは左手でコインを弾き飛ばした。コインは空中をクルクルと回転し、やがて下へ下りていく。コインが左手の甲に落ちると、すかさず、右手でコインを隠した。ベネズエルはゆっくりと手を上げる。コインは表が出ていた。

ベネズエル「私の勝ちだ。じゃあアークエンジェルさん、私はこれで失礼します」

ベネズエルはそう言った後、小屋を出てヘリの元へ向かって行き、山荘を後にした・・・。

 

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