■ 超音速攻撃ヘリ新エアウルフU〜ミレニアムエピソード〜指令・ブラックウルフを撃墜せよ! 

 

<後編4> 〜新しい仲間〜

 

アメリカ・サンティーニ航空。PM12:30。食事を終わらせたウォルターは外に止めていたヘリを整備するため工具を持って外に出た。飛行場には4〜5機のヘリと赤いボディのプロペラ機が止まっていた。ウォルターが1機のヘリを選び作業を始めようとした時、1台の白いジープが表われ、彼の前に止まった。ジープには2人の男性と1人の女性が乗っていた。運転席でサングラスをかけた男がウォルターに話し掛けた。

男「あれ、ケビンかと思ったが、新しい社員か?」

ジープに乗る3人は車から降りる。ウォルターは工具を地面に置いて彼らの前に歩み出た。

ウォルター「ああ、ウォルターです。ウォルター・クラント。あなた方は?」

サングラスをかけた男が話し始めた。

男「ストリング・フェローはどこに行った?」

男は右手でサングラスを外すと自己紹介を始めた。

男「君の事はホークから聞いたよ。俺はホークの兄のセント・ジョン・ホークだ。それから彼女はここの社長のジョー・サンティーニ、そして彼はマーク・リバース少佐だ」

ジョーとマークはウォルターに挨拶した。

ジョー「よろしくね、ウォルターさん」

ウォルターはマークの顔を見つめ、

ウォルター「マーク・リバース・・・どこかで聞いた事があるな」

マーク「俺を知ってるのか?俺も知らない間に有名人になったもんだ」

ジョー「マーク、新しいヘリのテストをするんでしょ?彼の邪魔しちゃ行けないわ」

マーク「へいへい。じゃあな。ウォルター」

マークはその場を離れ、倉庫へ向かった。ジョーはウォルターに話し掛けた。

ジョー「彼はいつもあんな調子なの。操縦はうまいけど気楽過ぎるのが難点だわ」

セント・ジョンがジョーに喋り掛けた。

ジョン「そろそろ俺達も行こうか。ウォルター、俺達はここにいない事が多いが、気にしないで頑張って働いてくれ。ケビンは面倒見のいい奴だから何でも教えてくれるはずだ」

セント・ジョンとジョーはウォルターに挨拶して倉庫へ向かって行った。ウォルターは地面に置いた工具を手に取り、ヘリの整備に取り掛かった。

セント・ジョンとジョーは、倉庫の社長室に入る。その中にはホークがいた。ホークはセント・ジョンに話し掛けた。

ホーク「兄貴、少し話があるんだ・・・二人っきりで・・・」

ジョン「ジョー、悪いが席を外してくれないか?」

ジョーは部屋を出て、扉を閉めた。ホークとジョンはソファに座り、話しを始めた。

ジョン「それで、話しって言うのは?」

ホーク「実は、エアウルフの事なんだが・・・」

ジョン「あれがどうかしたか?」

ホーク「少し貸してもらえるか?」

ジョン「別にいいが、どうするんだ?」

ホーク「ウォルター・クラントと言う男に貸すんだ」

ジョン「ウォルターとはさっき外であったが、なぜ彼に?」

ホーク「彼は元レッドフォール空軍基地の軍人なんだ。ある事件がきっかけで俺も彼と手を組む事になった」

ジョン「手を組むって・・・?」

ホーク「アークエンジェルに頼まれたんだ」

ジョン「詳しい事情を聞こうか?」

ホークはジョンにブラックウルフとウォルター達の事を説明した。

ジョン「エアウルフVか・・・モフッェトって確かおまえが殺した悪魔的天才科学者だろ?その弟がおまえに復讐するためにブラックウルフを盗んだとなると、ちょっとやっかいだな」

ホーク「だが、俺にはもうエアウルフの操作はできない。兄貴、ウォルターにエアウルフの操作方法を教えてやってくれないか?」

ジョンは困った表情をするが、すぐに答えた。

ジョン「わかった。おまえの頼みだ、引き受けよう。しかし、おまえがあかの他人にすんなり手を貸すなんて・・・珍しいな・・・」

ホーク「奴を見ていると、昔の俺を見ているようでな・・・」

ジョン「なるほど・・・」

ホーク「それから、もう一つ頼みがあるんだ」

ジョン「なんだ?」

ホーク「エアウルフの秘密基地を、もう一つ見つけて欲しい」

ジョン「もう一つ?何のために?」

ホーク「CIAのベネズエルという男とアークエンジェルがブラックウルフを倒すための新しいヘリを作っている」

ジョン「新しいヘリ?」

ホーク「今まで『ウルフ』と名のつくヘリは盗まれ続けてきた。俺達のエアウルフやジェンキンスの作ったエアウルフU、そして今度のブラックウルフだ。開発中の新しいヘリもまた誰かに盗まれるかもしれないんでな」

ジョン「つまり新しいヘリの隠し場所の事だな。しかしあの基地と似た場所なんて他にあるのか?」

ホーク「エアウルフのコンピュータを使えば、簡単に見つけ出せるはずだ。但し、国内でサンティーニ航空に近い所がいいんだが・・・」

ジョン「難しい条件だが・・・やってみるよ」

ホーク「すまない、兄貴」

ジョンは足早に部屋を出て行った。ホークは壁にかけられているドミニクの写真を眺めていた。

 

PM1:00。フロリダのCIA秘密地下施設レベル1。アークエンジェルとベネズエルは地下内を歩いていた。中はやけに暗く、電気が切れかかったものが多かった。この施設は森林に囲まれた山の中にあり、周囲には湖も広がっている。通路を進む二人の前に、鉄の壁が立ちはだかった。

ベネズエル「この奥です・・・もしコードが生きていたら扉が開くはずです」

ベネズエルは扉の右にある壁のスイッチを押す。『START』+数字を5・5・2・2・1・8+『END』と入力した。コントロールの赤から青へ変わり、厚さ5cmの扉はギーと音を立てながら左右に開いた。二人は中へ入り、ベネズエルは電源スイッチを入れた。

周りのライトがパッと光り、姿を表わす。周囲には数多くの機材とコンピュータが置かれ、中央にはシートに包まれた一機のヘリがあった。そのヘリはエアウルフと似ていて、機体はほぼ出来上がっていた。シートは青いビニールカバーで、機体を覆い隠すようにしてあり、装甲は見えない。ベネズエルはその青いシートを持ち上げ、取り外した。表れた機体にアークエンジェルは目をやる。

アークエンジェル「・・・ベネズエル、一つ聞きたいことがあるんだが。なぜ装甲がないんだね?」

ベネズエル「それには理由がありまして・・・開発中にコンピュータのバグがあったと言いましたが、その際にこの機体の元となる装甲が消えてしまい・・・このような無装甲ヘリになってしまったのです・・・」

アークエンジェル「・・・」

ベネズエル「ですが、新しい設計図を作ってきましたから・・・多分大丈夫だと思います」

アークエンジェル「どんな設計図ですか?」

ベネズエルはアークエンジェルに設計図を手渡した。アークエンジェルはその図を見ながらベネズエルに聞いた。

アークエンジェル「1つ聞いて言いか?これはおまえが書いたのか?」

ベネズエル「ええ・・・それが何か?」

アークエンジェル「なぜこのヘリにはトサカがあるんだ?それに空気口が多いのはなぜだ?」

ベネズエル「それはまだ秘密です。私の計算が確かなら、ブラックウルフを上回る性能を引き出せるはずです」

アークエンジェルは装甲のないヘリと向き合い、

アークエンジェル「それで・・・出来上がったら誰に操縦させるんだ?」

ベネズエル「出来れば、ホークさんにお願いしたいと思っています」

アークエンジェル「ホークに?私だったらウォルターに操縦させるがね」

ベネズエル「どうして彼に?」

アークエンジェル「ホークはもうエアウルフを操縦する事ができなくなってしまったんだ。さっきウォルターのファイルを覗いてみたんだが、彼は湾岸戦争ではエースパイロットとして活躍したそうだ」

ベネズエル「ウォルターにこの件を任せる方が得策だとおっしゃりたいのですか?」

アークエンジェル「そう言う事だ」

ベネズエル「わかりました」

アークエンジェル「それでは私はこれで失礼するよ。今から行く所があるんでな」

ベネズエル「どこへ行かれるんです?今来たばかりでしょう」

アークエンジェル「私はブラックウルフの情報を探しに行く。君はこのヘリの完成を急いでくれ」

ベネズエル「探すって、どこへ?」

アークエンジェル「ペンタゴンだよ」

 

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