■ 超音速攻撃ヘリ新エアウルフU〜ミレニアムエピソード〜指令・ブラックウルフを撃墜せよ! ■ <後編5> 〜秘密会議〜 PM3:00。サンティーニ航空。セント・ジョン、マーク・リバース、ジョー・サンティーニの三人はつい数時間前までここにいたが、またどこかへ出かけて行った。ウォルターは今日一日の仕事を終えた。ケビンとは幾度となく会話をする仲になり、より親しくなった。ホークは外に置いてある自分の愛機の赤い小型飛行機の上で昼寝をしていた。暫くしてそこへあの三人の乗ったジープが帰ってきて、ホークの前に止まった。セント・ジョンはクラクションを鳴らし、眠っていたホークを起こした。目を覚ましたホークはジープの方を見つめると、ジョンがホークに話しかけた。 ジョン「外で昼寝をするのもいいが、あの二人をほっといてもいいのか?」 ホークは欠伸をしながら飛行機を下り、セント・ジョンの前に向かった。 ホーク「例の場所は見つかったのか?」 マークがホークに喋り始めた。 マーク「何時間も飛び回ってようやくいい隠し場所を見つけたぜ」 ジョー・サンティーニも話し始めた。 ジョー「何の話?ジョンからまだ何も聞いてないのよ」 ホーク「後で話す」 ジョン「あの二人はこの事を知ってるのか?」 ホークは工場から出て来たケビンとウォルターに声をかけた。二人はホークの前に向かった。 ホーク「ケビン、ウォルター、悪いが今から配達に行ってくれないか?」 ケビン「今からですか?」 ホーク「ああ、そうだ。いつもの場所だ。ウォルターも一緒に連れてってくれ」 ジョンはズボンのポケットから財布を取り出し、二人に数枚のドル札を手渡した。 ケビン「こんなに頂けるんですか?」 ジョン「これで帰りに晩飯でも食ってこいよ」 ケビン「ありがとうございます」 数分後、ケビンとウォルターの乗ったヘリが動き出した。ヘリは配達先へ向かって飛んで行った。ホーク兄弟とマーク、ジョーの四人は社長室に入り、テーブルの周りにあるソファに座った。ジョンはどこからか地図を持ち出してきて、テーブルの上に広げた。ジョンは地図を指差しながら、マークとジョーに説明を始めた。 ジョン「まず場所だが・・・ここからだいたい車で3〜4km程の所にある」 ホークは地図を眺め、 ホーク「山か?」 ジョン「山は山だが、軍基地だ」 マークが二人の会話に割って入る。 マーク「・・・と言っても今はほとんど廃墟と化してるぜ」 ホーク「本当にそこは大丈夫なのか?軍の監視はないだろうな?」 ジョー「マークの話しでは基地の中のものは何も残っていないし、中に入れるゲートもあるから心配ないらしいけど・・・」 マーク「昔聞いた事があるんだが、そこは取り壊す予算がなくてそのままにされてるらしいんだ。他に誰も手をつける奴もいないし、まぁ、大丈夫だと思うよ」 ホークはマークを見つめ、 ホーク「いいか、マーク。俺が探しているのはそこがエアウルフの基地として機能するかどうかって事だ。下手すれば皆監獄行きになるんだぞ」 マーク「・・・と言っても他に隠し場所は見当たらないし。これ以上のものを探せって言ってもな・・・」 ジョン「ホーク、マークを信用してそこに決めないか?」 ホーク「・・・ヘリを隠せる場所はどこにあるんだ?」 ジョン「基地から200m先にある地下施設だ」 ホーク「その施設には入れるのか?」 ジョン「地下トンネルの通路がある。地上から地下まで300mぐらいある道だが、1度行ってみるか?」 ホーク「その基地の名前は?」 ジョン「ブルー・イーグル。今では地図にも載らない、「デスヴァレー」、通称『死の谷』とも呼ばれる場所の奥深い森の中にある」 ジョー「行くんだったら私は残った方がいいわね、ホーク」 ジョン「どうして?」 ホーク「ウォルターも連れて行くんだ」 その頃、ケビンとウォルターの乗ったヘリは高度2000mの上空を飛んでいた。操縦するケビンの隣にウォルターが座っている。慣れた手つきでレバーを握るケビンを見ていたウォルターが話し始めた。 ウォルター「なかなかいい腕をしてるな」 ケビン「ありがとうございます。でもあなたとホークさんにはかないません。ウォルターさんは軍で働いてたって聞いたけど、戦争に行った経験はあるんですか?」 ウォルター「10年前の湾岸戦争で一度だけ戦ったことがある」 ケビン「じゃあ、実戦で戦闘機にも乗った事があるんですね」 ウォルター「ヒューイコブラ、アパッチ、ステルスF−117のナイトホーク・・・」 ケビン「ヘェ、ステルスにも?」 ウォルター「ああ、俺はイラクで2番目に攻撃を加えたんだ。それ以来エースパイロットって呼ばれていた時期もあった」 ケビン「それだけでエースパイロットって呼ばれるのも変ですね」 ウォルター「普通はな。ただ俺は軍の他の連中にはマネできない得意技を持ってる」 ケビン「それって何ですか?」 ウォルター「空中大回転だ」 ケビン「空中大回転?凄いな1度見てみたい・・・」 ウォルター「ところで配達先はどこなんだ?」 ケビン「ケイトリンさんのところです」 ウォルター「ケイトリンって・・・ケイトリン・オシャネシィの事か?」 ケビン「知ってるんですか?」 ウォルター「アークエンジェルから聞いたんだ。確か彼女もエア・・・」 ウォルターは話すのをやめ、ケビンの様子をうかがう。 ケビン「僕も知ってますよ。ホークさん達が凄いヘリを持っている事を・・・」 ウォルター「知っていたのか、エアウルフの事・・・」 ケビン「ええ・・・1度それで助けてもらった事があるんですよ。あっ、僕がエアウルフを知ってる事、ホークさんには内緒にしてくださいね」 ウォルター「ああ・・・」 ケビン「ところでウォルターさんはどうしてエアウルフの事を知ってるんですか?」 ウォルター「いや、その・・・友達から聞いたんだ」 ケビン「?」 ウォルターはそれ以上エアウルフの事を喋らなかった。彼までこの事件に巻き込みたくなかったからだ・・・。 PM4:30。リビアの宮殿。ヨーロッパから戻った三人は暗い地下の階段を下り、あのエアクロウの方へ向かっていた。その際、カマル・ラーは1冊のファイルをジョン・モフェットに手渡した。 モフッェト「見つかったのか?クロウの設計図が・・・」 カマル「今日の朝見つけた。博士が使っていたベッドの裏にあったんだ」 三人は階段を下りた後、広い空間を通る。カマルは右側の壁の電源スイッチを上げた。天井にライトが灯り、あの5機の戦闘機が姿を表わした。 エアクロウの羽の下にある電源プラグから太く長いコードが伸びていた。そのコードの先はあるコンピュータ装置につながっていた。ライフェルはその装置の電源を入れる。後の二人はエアクロウの設計図を見ながらパスワードとなる文書を探していた。 ライフェルはコンピュータのキーを打ち込み、パスワードの候補となるデータを呼び出した。ライフェルは2人に声をかけた。 アーラン「絞り込んだら3つのパスワードが出て来た。1つはあの機体の名前、2つ目は設計者の名前、後は博士の趣味だ・・・」 設計図に一通り目を通したモフッェトが話し始めた。 モフェット「順番に打ち込んでみろ」 ライフェルは後ろを振り向き、モフェットと顔を合わせ、 アーラン「チャンスは3回だ。下手に打ち込むと後がないぞ」 モフェット「構わん。機体の名前から入力しろ」 ライフェルはコンピュータに向き直し、キーを打ち始めた。シフトキーを押した時、いきなり画面にある人物が映り始めた。その人物はチャールズ・ヘンリー・モフェットだった。モフェットは静かに語り始めた。 モフェット『これは私からの伝言だ。多分諸君がこれを見ている時、私はこの世にいないだろう。私はこの世に最後の未完成品を残す。エアクロウだ。もし私の入力したパスワードと諸君が入力したパスワードが一致すれば、君らにそれを使う権利を与えよう。但し、後2回間違えれば君らの負けだ。警告するが、これを聞いている歳、電源を切ろうとするな。そうすれば回答がないと判断し、エアクロウはただの鉄の塊となるだろう』 モフェットの言葉が終わると、画面はまたパスワードの入力画面に切り換わった。カマルはモフェットに話しかけた。 カマル「今のはモフェット博士だな・・・コンピュータの誤作動かね?」 モフェット「いや、そうじゃない。兄が作ったプログラムだ。パスワードを入力すると自動的にこのシステムが動くようになっているんだ」 コンピュータに向かっていたライフェルが声を上げた。 アーラン「それで、次のパスワードはどうするんだ?」 カマル「博士の趣味や特技はなんだ?」 モフッェト「兄の趣味は色々あったが・・・ゲームは得意だったはずだ」 アーラン「ゲームってTVゲームか?それともトランプカードか?」 モフェット「80年代にはTVゲームと言うのはほとんどなかった。カードゲームにしても兄はカジノなど行った事もない。一番好きなゲームは確か、チェスだった。それを打ち込んでみろ」 ライフェルはキーで『チェス』と打ち込み、シフトキーを押した。すると画面にまたモフェットが姿を表わした。 モフェット『君らの勝ちだ。使用権利を与えよう』 周囲にある5機のエアクロウのコンピュータが永い眠りから覚めたように起動を始めた。全機のコクピットのハッチが一斉に上がる。コクピット下の装甲が開き、足場となる階段が出来上がる。モフェットとカマルは変化するクロウの様子を見ていた。コンピュータ画面に映っていたモフェットの姿が消え、ある画像が浮き上がる。その画像は上下に分割され、上にカラスの絵、そして下にエアクロウのCGが表われた・・・。 |
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