■ 超音速攻撃ヘリ新エアウルフU〜ミレニアムエピソード〜指令・ブラックウルフを撃墜せよ! ■ <後編6> 〜思い出〜 リビアの宮殿、地下。ジョン・モフェット、アーラン・ライフェル、カマル・ラー大佐の三人はモヘッドの作った5機のエアクロウの前にいた。三人はパスワードを見事に一致させ、エアクロウを起動させた。コクピットが開き、コンピュータにはCG画面が映し出されていた。カマルはモフェットに喋り掛けた。 カマル「やったな。これでリビア革命軍にも光が見えてきたぞ」 モフェット「喜ぶのはまだ早いぞ、大佐。まだ完全に出来上がったわけじゃない」 カマル「だが、問題が一つ解決したんだ。喜んでもいいじゃないか」 モフェット「この5機のエアクロウに乗り込むパイロットがいる。大佐、あなたの軍の、腕の立つ優秀なパイロットを連れてきてくれ」 カマル「・・・わかった」 モフェットはライフェルに声をかけ、 モフェット「ライフェル、ベトナム戦の生き残りはどうなった?」 アーラン「生き残りは全部で165人いた。その中からさらに絞り込まなければ・・・」 モフェット「そのデータはあるか?」 ライフェルはポケットからフロッピーを取り出し、コンピュータに入れた。画面に写真と名前、そして作戦名が映し出される。 モフェット「この中に兄を殺した者がいる・・・非常に高度な作戦に関わった人物だ」 アーラン「そいつは後衛部隊か救助部隊でヘリを操縦していた人物だ・・・そうなると、4人まで絞り込める。1人はマーティン・ジェームス・ビトー、2人目はタガート、3人目はセント・ジョン・ホーク、4人目はストリング・フェロー・ホークだ」 モフェット「4人か・・・」 アーラン「そのうち2人は80年代に亡くなっている。残った二人はホーク兄弟だが、兄貴の方は奇襲作戦で行方不明になったと出ている」 モフェット「残った1人は・・・ストリング・フェロー・ホークか?」 アーラン「たぶんな。この男の記録はおまえの兄貴が殺された後数年間空白になっている」 モフェット「でかしたぞ、ライフェル」 モフェットはライフェルの肩をポンと叩くと今度はカマルに向かって話し始める。 モフェット「これで全てそろったぞ、大佐。約束通り、2機のエアクロウをあんたの軍にくれてやる」 カマル「・・・」 モフェットは二人を置いて階段に向かって歩き始めた。その時、カマルがモフェットを呼び止めた。 カマル「君を見ていると、昔の博士を思い出すよ・・・」 モフェットは振り向いて腰からピストルを抜き、カマルに向けた。 モフェット「カマル大佐、確かに私と兄は容姿が似ているが、中身は別だ。それにブラックウルフを奪ったのは単に兄の復讐をするためだけではない」 カマル「他に何かやるつもりかね?」 モフェット「その通りだ」 ライフェルはモフェットに喋りかける。 アーラン「モフェット、銃を下ろせ」 モフッェトはライフェルの言葉を聞き、ピストルを下ろす。 モフェット「兄は、人殺しは平気だったが、私は違う」 カマル「君も得意そうに見えるがな・・・」 モフッェト「・・・どうやら意地でも私を兄と同類にしたいようだな」 カマル「どうして博士と一緒にされる事を嫌がる?」 モフッェト「兄は偉大だ。私と比較にならない。それに私は兄の死をまだ受け入れてはいない・・・」 モフェットはピストルを腰に戻し、階段を上っていた。カマルとライフェルはモフェットの姿を見つめていた。暫くして、カマルがライフェルに話しかけた。 カマル「兄貴と同じで難しいな、彼の性格は・・・」 アーラン「奴とは大学時代からのつきあいだが、ブラックウルフを奪ってからまるで人が変わってしまったようだ・・・」 カマル「博士の幽霊が獲り付いてるのかも知れないぞ。気をつけろ」 アーラン「しかし、ピストルを向けられてよく冷静でいられたな・・・」 カマル「ほんとに撃たれるかと思ったよ」 アーラン「暫くの間、あいつの前で兄貴の事を言うのはよそう」 カマル「その方がよさそうだ・・・」 二人はエアクロウに目を向けた。5機のエアクロウは呼吸をするようにスーッと音を鳴らし、今にも動き出しそうだった。 PM6:00。ウォルターとケビンはとある小さな町へ辿りついた。数少なく家が建ち、その周りは森で囲まれていた。2人のヘリはこの町から200m先の広場に着陸し、ヘリから降りた2人は町へ向かった。町の中には新しく建てられた家が一つあった。2人はその家の玄関に向かった。ケビンは玄関のドアの、右側の壁にあるベルを鳴らし扉を叩いた。すると、中から一人の女性が顔を出した。年齢は40歳、髪は赤茶色だが白髪が混じっている。 その女性がケビンに話し始めた。 女性「あら、ケビンじゃない。久しぶりね」 ケビン「こんにちは、ケイトリンさん」 女性はケイトリンだった。ウォルターが彼女の方を向いた。 ケイトリン「今日はどうしたの?仕事は?」 ケビン「仕事はもう終わりました」 ケイトリンはウォルターの方を向き、 ケイトリン「新しいお友達?ケビンより若く見えるけど・・・もしかして新しい社員?」 ケビン「そうです。実はホークさんから届け物があって・・・」 ケイトリン「ホークから?」 ケビンはケイトリンに荷物を手渡した。 ケビン「じゃあ、僕達はこれで」 ケイトリン「せっかく来たんだから上がっていけば?コーヒーぐらいは飲ませてあげるわよ」 ケビン「でも、早く帰って来いってホークさんから言われてるし・・・」 ケイトリン「私がホークに連絡するから、気にしないで、さぁ・・・」 ケイトリンは強引に2人を家の中に入れた。2人は広いリビングに向かい、ソファに座った。ケイトリンはコーヒーとお菓子を乗せたお盆を持って二人の前のテーブルに置いた。三人は談話を続け、30分が経った頃、ケビンがケイトリンに言った。 ケビン「ところで、ホークさんから何を貰ったんです?」 ケイトリン「別に大したものじゃなかったわ。ところでウォルターさんのフルネームは何?」 ウォルター「ウォルター・クラント。前はレッドフォール空軍にいたんだけど、訳あってサンティーニ航空で働く事になりました」 ケイトリン「その訳って何?」 ウォルター「エアウルフの事で・・・」 それを聞いたケイトリンは焦ったようにケビンに声をかけ、 ケイトリン「あ、ケビン、私のヘリ、前から調子が悪いのよ。ちょっと見て来てくれない?」 ケビンは素直にケイトリンの言葉を聞き、その場から出て行った。ケビンが出て行くとケイトリンは低い声でウォルターに喋りかけた。 ケイトリン「どうしてあなたがエアウルフの事を知ってるの?」 ウォルター「あなたには全てお話しておいたほうがいいですね・・・」 ケイトリン「・・・・?」 ウォルターは彼女に今での事を話し始めた。 ケイトリン「ジョン・モフェット・・・ブラックウルフ・・・それで今回ホーク達が協力したわけね」 ウォルター「ベネズエルの話だと、ブラックウルフはエアウルフ以上の力を持つ攻撃力と装甲能力がある。それで彼は今新型機の開発に取り組んでいるんだ」 ケイトリン「エアウルフって懐かしい響きだわ。何年振りに聞いたかしらその言葉・・・」 ウォルター「ケイトリンさんはエアウルフのチームだったと聞いてますけど・・・」 ケイトリン「かなり前の話だけど。今の私には夫もいるしホークともあれから4、5度ほどしか会ってないわ」 ウォルター「どうしてホークさんの元から離れたんですか?」 ケイトリン「別に彼の元から離れたわけじゃないわ。ただ・・・なんとなくよ」 ウォルターは立ち上がり、目の前に置かれていた写真に向って歩き出した。 ウォルター「ホークさんはどうやってエアウルフを手に入れたんです?元はCIAのものだったはずでしょ?」 ケイトリン「昔1度だけホークから聞いたことがあるわ。ある科学者にエアウルフが盗まれて、それでホークがアークエンジェルから依頼を受けて取り戻しに行ったの。その時、CIAの女性が1人犠牲になったらしいけど・・・」 ウォルターは写真に写る三人の姿を見ていた。一人は若い頃のホークとケイトリン、そして優しそうな老人・・・ホークが言っていたドミニクだろうとウォルターは思った。 ケイトリン「私がホークと会ったのは十数年前。その頃私はメキシコでハイウェーパトロールをしていたの。その時エアウルフと出会ったのがきっかけで、私は仕事を辞めて、サンティーニ航空で働く事になった。彼らとの思い出は今でも記憶に鮮明に蘇るわ・・・」 ウォルターとケビンがケイトリンの家を出たのはPM19:00頃だった。外はすでに暗く、空には星と三日月が輝いていた。帰りのヘリの中でケビンはウォルターに話しかけた。 ケビン「すっかり遅くなりましたね・・・」 ウォルター「ああ・・・」 ケビン「ケイトリンと何を話してたんです?」 ウォルター「ちょっとした昔話を聞いたんだ・・・」 2人がサンティーニ航空に戻ったのはPM20:30頃だった。外でホークが2人の帰りを待ち構えていた。着陸し、エンジンの止まったヘリからケビンとウォルターが降り、ホークの元へ向った。 ケビン「遅くなってすいません」 ホーク「ケイトリンから連絡があったぞ」 ホークのそばにいたジョーがケビンに話しかけた。 ジョー「ケビン、今日はもう帰っていいわよ」 ケビンは帽子を脱ぎ、一礼すると、その場を立ち去った。ホークはウォルターに声をかけた。 ホーク「待ってたぞ、ウォルター。おまえに話がある」 ウォルター「何ですか?」 ホーク「明日ドライブでも行かないか?」 ウォルター「ドライブ?どこにですか?」 ホーク「それはまだ言えん」 ウォルター「・・・」 ホーク「とにかく明日俺達と一緒に来てくれ。とても大事な用なんだ」 ウォルターにはまだホークの言葉を理解することができなかったが、彼らについていく事に決めた・・・。 |
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