■ 超音速攻撃ヘリ新エアウルフU〜ミレニアムエピソード〜指令・ブラックウルフを撃墜せよ! 

 

<前編6> 〜誕生秘話その2〜

 

 アメリカワシントンDCホワイトハウス二階のマーティス・ダニエル大統領の部屋では、マーティス、ウォルター、ダークエンジェルの三人が会話を続けていた。

マーティスとウォルターは、ダークエンジェルの話しに聞き入っていた。

ダークエンジェル「そもそも私がエアウルフVを設計したのはエアウルフが盗まれて二年後の事だった。その時私のCIAでの地位はまだ下のほうで、ヘリの設計やプログラムなどといったものには無縁の男だった。だが、ある日のことだった。私はCIAの部長室に呼ばれてそこへ向かった。中には誰もいなかったので、机に持っていた書類を置いて出て行こうとした。その時、机の上に地下管理室の鍵が置いてあるのを知った。これはチャンスだと思い、私はその鍵を持って地下に向かった。中は保管庫になっていて、いくつか開いている引き出しがあった。そこで私は『AIRWOLF』と『AIRWOLFU』の極秘ファイルと設計図、そしてプログラムの入ったフロッピーを見つけ出した。それにレーザー用の攻撃兵器のファイルも手に入れ、それらを元に私はブラックウルフの設計と開発に全力を注ぎ込んだ。だからブラックウルフは、エアウルフの息子みたいなものだ」

ウォルターはいきなりダークエンジェルの右頬を殴りつけた。ダークエンジェルは椅子ごと倒れた。

ウォルター「あんたの自分勝手な計画のために、アルフレッドとフェリックは死んだのか?冗談じゃないぞ」

ダークエンジェルは起き上がり、手で右頬を押さえながら椅子を戻して座り直した。マーティスがウォルターに話し出した。

マーティス「ウォルター君。君の気持ちはわかるが、ここは神聖なホワイトハウスだ。殴り合いはやめてくれ」

ウォルター「す、すいません。つい・・・」

マーティス「それで、ダークエンジェル。ブラックウルフをどうするかね?取り戻すか、撃墜するか・・・」

ダークエンジェルは、右頬から手を離し、マーティスに言った。

ダークエンジェル「・・・あのヘリの撃墜は不可能です」

マーティス「不可能とはどういうことだね?」

ダークエンジェル「ブラックウルフの装甲はたとえ硫酸やその他の化学兵器を使っても変化する事はない。そしてミサイルも利かない。おまけにステルス機能とスーパーステルス機能もついているからな」

マーティス「スーパーステルス?」

ダークエンジェル「カメレオンのように姿を消す装置の事です。消える事が出来る時間は30秒間ですが、姿を消したら最後、敵はブラックウルフのエサになってしまいます」

ウォルター「一つぐらい弱点はあるだろう?」

ダークエンジェル「あるにはある。空中用の燃料補給口に銃弾を一発入れれば大爆発を起こす」

ウォルター「じゃあ、その手を使かってヘリを破壊しよう」

ダークエンジェル「残念だが、ウォルター。通常、補給口は表に出ていなくて、ブラックウルフの中にあるシステムコンピュータを使用しなければ開き出すことができない」

マーティスは立ち上がると二人に背を向け歩き出す。暫くして向き直してダークエンジェルにこう言った。

マーティス「ステルスF−117とB2を使ってみてはどうだね?確かB2はマッハ3の速度が出るぞ」

ダークエンジェル「確かにB2は速度があり、力強いですが、ブラックウルフには勝てないでしょう。なぜなら、ツインスライクミサイルを持っていますし、B2はただ全速力で逃げる事しかできません」

マーティス「F−117ナイトホークはどうだ?」

ダークエンジェル「無理です・・・唯一の手段としてはプラックウルフとよく似た兵器をもう一つ作り出す事です。理論上の話ですが・・・」

その直後、彼らの左側にある茶色の扉が開き、クリスがおぼんに飲み物が入った3つのグラスを乗せて部屋に入ってきた。クリスは、彼らのテーブルの前に行き、静かにグラスを置き始めた。

マーティス「クリス!さっきも言っただろ?部屋に入る前にノックしろ!客の前だ」

クリス「すいません、大統領・・・電話が鳴っていたので少し遅れてしまいました」

マーティス「相手は誰だ?」

クリス「ジョン・モフェットと言う方からです」

ウォルター「大統領、ブラックウルフを盗んだ男です」

マーティス「いつだ?」

クリス「先ほどです。どうされますか?」

マーティスは自分の机の電話に近づき、受話器を取らずにボタンを押した。周囲の壁に小さく丸い穴かいくつもついていて、それはスピーカーになっていた。マーティスはテーブルの自分の椅子に座り直し、独り言のように喋り始めた。ウォルターとダークエンジェルも話に耳を傾けた。

マーティス「私はマーティス・ダニエル大統領だ。ジョン・モフェット君、私に何の用だ?」

モフェット「おはよう大統領」

マーティス「ここの電話番号をどこで知った?」

モフェット「それは秘密だ。それより、そこにCIAがいるだろ?」

マーティス「ああ」

モフェット「じゃあ話は早い。私は世界最強のヘリを手に入れた」

マーティス「君の目的は何だ?」

モフェット「目的?私はただCIAに復讐したいだけだ」

マーティス「復讐だと?」

モフェット「ああ、兄のな。どうだ、私と取り引きする気はあるか?」

マーティス「取り引き?」

モフェット「ブラックウルフと、兄を殺した者との交換だ」

マーティス「その君の兄を殺した者をどうするつもりだね?」

モフェット「・・・あんたしだいだよ大統領。その前にもう一つ条件がある」

マーティス「条件?」

モフェット「まず、一週間以内に私の口座に10億ドルを振り込む事、それからブラックウルフ用の武器と燃料を1ダース分、ロサンゼルスのレッドフォール空軍基地に運ばせるんだ」

マーティス「なぜレッドフォールなのだ?他の基地でも良かろう?」

モフェット「私の条件が飲めないなら、アメリカ全州は火の海になる」

マーティス「・・・わかった。だが一週間以内に10億ドルを用意するのは無理だ。三ヶ月にしてくれ。武器は一週間後に送る」

モフェット「二ヶ月だ。それまでに用意できなければアメリカは地獄と化すだろう」

ウォルター「モフェット、俺は絶対おまえを許さないからな」

モフェット「・・・ウォルター、どうやら友を殺され気が立っているようだな。おまけに軍まで辞めさせられてさぞ辛かろう・・・」

ウォルター「なぜ俺の事を知ってる?」

モフェット「それは教えられないね。では大統領、取り引きを楽しみにしているよ」

スピーカーの声が途絶た。マーティスは立ち上がり、机の電話機のボタンを押す。ウォルターはテーブルの上に置かれたグラスを手に取り一気にそれを飲み干した。ダークエンジェルとクリスはマーティスを見つめる。部屋の中に重い空気がのしかかる。時はすでに昼の12時を回っていた。ダークエンジェルは、3人に向かって話し始めた。

ダークエンジェル「彼の言う通りにするしかないな」

ウォルター「何言ってる?たとえ取り引きしたとしても奴はブラックウルフを手放さないぞ」

マーティスは日が差し込むガラス際に立ち止まり、街の外を見回しながらこう言った。

マーティス「アメリカを救わなければならない。ダークエンジェル、君が作ったヘリだ。どれだけ金をかけてでもブラックウルフを爆撃しろ」

ウォルター「あのヘリを爆撃できる兵器を用意しなければ・・・」

ダークエンジェルはとっさにある事を思いついた。

ダークエンジェル「そうだ、あれを使えば何とかブラックウルフと対等に戦える」

ダークエンジェルの後ろにいたクリスがすかさず話し出した。

クリス「あれとはなんだ?」

 

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