ソードフィッシュ

SWORDFISH(2001年/アメリカ)

監督 ドミニク・セナ

出演 ジョン・トラボルタ(ガブリエル・シアー)
   ヒュー・ジャックマン(スタンリー)
   ハル・ベリー(ジンジャー)
   ドン・チードル(ロバーツ)
   サム・シェパード(リースマン上院議員)/他


オープニング、この映画の主人公・ガブリエルの語りのシーンでアル・パチーノの名作『狼達の午後』が引き合いに出されている。あの映画の展開が気に入らないと言う話の後、実は、ガブリエル自身も映画の中のアル・パチーノのように銀行強盗の真っ最中であると言う事がわかる。他にも、この映画の中では、『続・激突』など70年代のアクション映画が例に挙げられ、映画の内容を批判しながら、ガブリエルは、自分ならこうして見せると、人質全員にC−4爆弾つきのベストをつけさせてみたり、街中で最新型機銃を両手で持ち、ぶっ放して見せたりすると言う、21世紀型の凶悪犯像をまざまざと見せつける。そう言った70年代アクション映画との対比するところがユニークで、新鮮な感じがした。

今回、ジョン・トラボルタが演じるガブリエル・シアーと言う男は、『パルプ・フィクション』でトラボルタが演じたキャラクターを彷彿させるルックス。しかし、内面は、冷酷無比の非情な犯罪者で、『ブロークン・アロー』のディーキンスや、『フェイス/オフ』でアーチャの顔をつけたトロイを思い出す。ドミニク・セナ監督は、ジョン・トラボルタがこの映画の出演を断っていたら、監督を引き受けていなかっただろうと語っていた程、ガブリエル役にジョン・トラボルタを押したらしい。なるほど、この映画のトラボルタも確かに魅力的だった。

かつて世界一のハッカーと呼ばれた男・スタンリーは、ひょんなことからガブリエルと手を組み、僅か60秒と言う時間でシステムに侵入し、95億ドルもの大金を易々と盗み出してしまう。スタンリー役のヒュー・ジャックマンは、ジョン・トラボルタの映画で育った人らしいので、トラボルタと共演は、まさに念願の夢が叶ったと言う事だろう。『パルプ・フィクション』のトラボルタを意識したような役作りを心がけていたらしいです。

オープニングでは、『マトリックス』でも多用されたスチームアレイ方式の撮影法が駆使されての爆弾爆破の超スローモーション映像が見られる。1秒に1000フレームのモーション映像は、燃え上がる炎、爆風で吹き飛ばされる車や、兵士達の姿を生々しく映し出している。そして、クライマックスシーンでは、ヘリによるバスの宙吊りのシーンがある。12トンまで持ち上げられる事のできるヘリで7トンのバスを吊り上げてしまうと言うとんでもない試みを軽々とやりこなしてしまうあたり、ハリウッドの底力とやる気とアクション映画にかける情熱を感じてしまう。このシーンを撮影するため、スタッフは、政府の許可を取って、ビジネス街を2時間封鎖し、約12台のカメラ・クルーが街中に散らばって、大掛かりな撮影を試みたそうです。しかも、単に宙吊りにすると言うわけでなく、ヘリがビルの狭間を駆け抜けている間に、バスが看板やオフィス・タワーにぶつかって、ケーブルがちぎれて、垂直の状態でぶら下がってしまったりと、とにかくアクション部分のアイデアは、中々なもの。こう言った大ロケーション、ちょっとは日本も見習ってやってみろ!とまたぼやいてしまったのでした・・・。


20年前、米麻薬取締局(DEA)の『ソード・フィッシュ』と呼ばれる秘密作戦で生じた政府の闇資金95億ドルの在り処を知った元政府のスパイのガブリエルは、天才ハッカーのスタンリーを仲間に引き入れ、その大金を手に入れようと模索し始める・・・。


 

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