ワイルド・スピード
THE FAST AND THE FURIOUS(2001年/アメリカ)
監督 ロブ・コーエン
出演 ポール・ウォーカー(ブライアン)
ヴィン・ディーゼル(ドミニク)
ミシェル・ロドリゲス(レティ)
リック・ユーン(ジョニー)
ジョーダナ・ブリュースター(ミア)/他
同時期に公開された『ドリヴン』など、ここ最近のハリウッドのカーアクションは、CG多用の作品が多く、ビジュアル面を強調するせいか内容が疎かになってしまうと言うケースが多い。しかし、この映画では、CGだけでなく、一時代前の古めかしい伝統的なカーアクション映画のテイストが復活している。ドラッグ・カーレースに命を燃やす若者達の描写と共に、ハイスピードで走行しながらトラックを襲い、商品を奪い取る連続ハイジャック事件を追う刑事の姿と、相対する強盗達の束の間の友情がシンプルに描かれている。
ブライアンは、のっけからドミニク達と共に公道カーレースに参加する一人の若者なのだが、ストーリーの後半で彼の正体が明らかになり、ストーリーは、急展開していく。この辺りのストーリーの骨格は、やはり『ノーマンズ・ランド』や、『ハート・ブルー』などの作品を連想させます。ほとんど無名な出演者にもかかわらず、豪快なカーアクションと、BTのBGMによりスピード感を高められた迫力満点の演出が出演者の存在感をより高めている。
アメリカのカーアクション映画にはつき物の最新技術も登場するマシーンに垣間見える。NOS(ナイトロ・オキサイド・システム)は、第二次世界大戦で、戦闘機をパワーアップさせるために極秘で開発されたシステムだそうで、通常のエンジンの酸素の吸引量を大幅にアップさせ、多大な馬力を出す事が出来るそうです。
この映画の特出すべき点は、なんと言っても登場する数々の車がすべて日本車であると言う事。驚くべき事は、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、三菱と、日本車のトップメーカーが一つの映画に名を連ねている事。日本映画では、せいぜい一社提供止まりなのだが、やはり、そこはハリウッドのなせる技なのか。車のボディカラーも色とりどりで、まるで日本の特撮の五人戦隊などの乗り物みたいにも見えなくはない。東洋人の俳優も多数起用され、これだけの日本車を使いながら、なぜ日本人が一人も登場していないのか?続編があるならば、日本人ドライバーも活躍してもらいたいところだが、この手の映画に似合う俳優がはたして今の日本にいるのかどうか・・・。
走行するトラックをスポーツカーに乗った強盗団が襲撃する場面は、『ナイトライダー』第22回「決死の替え玉作戦!ナイト2000凶悪武装軍団マル秘計画を暴け!!」を思い出してしまいました。しかし、この強奪シーン、少しおかしなところがあって、この強盗団は、トラックのドライバーに自分達の存在を気づかせてしまっているわけで、トラックのドライバーがブレーキを踏み込んで、止まってしまえば、「ハイスピード強盗」は、成立しなくなる。トラックのドライバーに自分達の存在を気づかせず、コンテナから目的の物品だけを奪い取る「ナイトライダー」の中で繰り広げられた作戦の方が俄然合点がいくのだが・・・。まぁ、そんな事は、気にせずに楽しんでください。
ポール・ウォーカーは、この作品の後も、不気味なトラックが人々を恐怖に陥れるパニック・カーアクションムービー『ロード・キラー』に出演しています。ドミニク役のヴィン・ディーゼルは、『トリプルX』で新境地を開き、新時代のアクションスターの仲間入りを果たす勢いです。
深夜のロス街で繰り広げられる壮絶なカーレースバトル。華麗なドライビング・テクニックを持つ男・ドミニクを崇める若者達が街に集結し、1万ドルの賞金をかけて、様々なチューニングマシーンがストリートを疾走する。ハイスピード強盗の極秘捜査で街にやってきた刑事ブライアンは、自分のマシーンでドミニクと勝負を挑む・・・。