白昼の無頼漢
(1961年ニュー東映)
監督 深作欣二
出演 丹波哲郎(宮原) |
日本のアクション映画界の重鎮・深作欣二監督の初の長編作品。もはや今日の日本の映画テイストには、皆無となった無国籍ハードボイルド・アクション。アクションと言っても、クライマックスに壮絶な銃撃戦が展開されるまでは、犯罪に関わろうとしている人間達の様々な葛藤と裏切り、欲望渦巻く群像劇がひしひしと静かに展開されて行く。怪しげな白人のジョン・ケンディ夫婦、婦女暴行容疑の前科を持つ元兵士の黒人トム・トウェイン、朝鮮半島出身の諜報員・片山などの様々な人種がグループを作り、在留米軍兵士に支払われる給料50万ドル(日本円<当時>2億円)の襲撃計画を企てる。そのグループのリーダー的な存在は、丹波哲郎氏演じる日本人ギャング宮原は、流暢な英語を喋り、怪しげな人間達の素性を知り尽くし、そして彼らを操る。剥き出しになった欲望、人権偏見。まだ、黒人差別が激しかったせいか、劇中でも、黒人に対する差別言語がひきりなしに飛び交っています。
深作欣二監督は、1961年に監督デビューして、その年、5本の作品を製作、この映画は、その5本目に当たり、それまでの4本が60分前後の中篇だったため、本作が初の長編作品になったそうです。この映画を見ていると、その様々なディティールが『いつかギラギラする日』と重なる部分が多い。現金輸送車襲撃計画、グループ内での裏切り、中原ひとみ氏が演じていた混血娘の花子は、「いつか・・・」で荻野目慶子氏が演じていた麻衣を彷彿させる。初期の作品で、すでに斜め45度の斬新なカメラアングルとスピード感溢れるカメラワークを発揮し、「いつか・・・」の原型がこの時すでに作り上げられていたのだなぁと思った。それにしても映像を見ていると、この時代の日本は、まるで別の国のようだ。この時の丹波哲郎氏がなぜか長塚京三氏に見えてしまう。炸裂するダイナマイト、激しい銃撃戦のシーンは、まさに深作作品の醍醐味と言える大胆な演出です。
日本人ギャングの宮原は、在留米軍兵士の給料50万ドルを積んだ輸送車を襲撃する計画を実行するため、一癖ある人間達を自分の屋敷に呼び集め、犯罪計画の実行に乗り出す。
深作欣二監督作品
『仁義なき戦い』シリーズ『暴走パニック大激突』 『ヤクザの墓場 くちなしの花』『ドーベルマン刑事』 『柳生一族の陰謀』『宇宙からのメッセージ』『復活の日』 『魔界転生』『道頓堀川』『蒲田行進曲』『里見発見伝』 『火宅の人』『必殺W 恨みはらします』『華の乱』 『いつかギラギラする日』『忠臣蔵外伝 四谷怪談』 『おもちゃ』『バトルロワイヤル』
丹波哲郎出演作品 『日本沈没』『007は2度死ぬ』『砂の器』『新幹線大爆破』 『暴力教室』『Gメン‘75シリーズ』(TV)『野生の証明』 『柳生一族の陰謀』『白昼の死角』『二百三高地』『鬼龍院花子の生涯』 『唐獅子株式会社』『首都消失』『マルサの女2』 『将軍家光の乱心 激突』『大霊界』『帝都大戦』『たそがれ清兵衛』 |
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