ションベンライダー
(1983年)
監督 相米慎二 出演 藤竜也 |
「ションベンライダー」って言うぐらいだから、何か特殊なマシーンでも登場するのかと思いきや、実は、少年達の一夏の経験っぽいタッチの冒険活劇でした。昔は、邦画でも、こう言った路線が確立されていたんですね。少年達の青春を描いた作品で他に思い出すのは、『ガキ帝国』、『僕たちの七日間戦争』、洋画では、『スタンド・バイミー』や『グーニーズ』などなど。80年代には、こう言う青春活劇の映画が結構沢山ありました。ちなみにこの作品は、アニメと同時上映されていたようです。これもまた80年代特有の傾向でありました。
相米監督と言う方は、ほんとに長回しを使った撮影手法がお好きだったようですね。冒頭からの8分近くもある長回し映像には、仰天してしまいました。確かに最近の日本映画では、見られないよう独特のタッチです。その手法がまた、映画全編に渡って使われているのがまた凄い。ここぞと言うタイミングでいろんな動きを要求される役者さん達、特にメインの三人の少年達を演じた河合、永瀬、坂上氏達は、とてもハードな撮影だったのではないでしょうか。それにも増して、少年達の逃避行のシーンでは、川がよく登場しています。とても驚異的に見えたのは、警官に捕まり、パトカーに乗せられた少年達のシーン。ブルースが警官を欺いて、トイレに駆け込み、そこで大騒ぎして、警官達をひきつけている間に、トイレから脱出、ジョジョ達と一緒に川を航行していた船に飛び乗り、警官の追ってから逃れる・・・ってなシーンがあるのですが、その脱出するまでの経緯が全て1カットで撮られている。勇ましいのは、暴力団の追ってから逃れる時、ブルース役の河合美智子氏がスタント無しで、橋の上から飛び込んでいたりする。デビューして間もない子役にここまでさせるなんて、やはり監督は、只者ではない。そう言った意味でアクションシーンは、絶品だ。少年達のエネルギッシュな躍動感が画面に溢れていて、中々見応えのある作品でした。
少年役で出演しているのは、『私立探偵濱マイク』でテレビドラマに復帰した永瀬正敏氏。そして、カンフー好きの少女役(おそらくブルース・リーのファンに河合美智子氏。どちらもこの作品で映画デビューしたそうです。そう言えば、この二人、どちらも『あぶない刑事』に出演されています。永瀬氏→『説得』、河合氏→『逆転』。他の出演者には、なぜか、刑事ドラマ関連の俳優さんが多いです。ヤクザ役は、『大追跡』『ベイシティ刑事』の藤竜也氏、また、『太陽にほえろ!』のロッキー時代の頃の木之元亮氏も出演されていて、その存在感が映画をより味わい深いものにしていました。
三人の中学生、ジョジョ・辞書・ブルース達は、ヤクザに誘拐されてしまったガキ大将のデブナガを救出するため、横浜に向かい、極竜会のあるヤクザと知り合う。三人は、ヤクザと奇妙な関係を続けるうち、覚醒剤絡みの暴力団の抗争に巻き込まれてしまうが・・・。
相米慎二監督作品 『セーラー服と機関銃』『台風クラブ゙』『光る女』 『東京上空いらっしゃいませ』
永瀬正敏出演作品 『ミステリー・トレイン』『バカヤロー3 へんな奴ら』『死んでもいい』 『我が人生最悪の時』『遥かな時代の階段を』『罠』『誘拐』 河合美智子出演作品 『野蛮人のように』『ショムニ』 |
MENU | HOME |