タワーリング・インフェルノ
THE TOWERING INFERNO(1974年/アメリカ)
監督 ジョン・ギラーミン
アーウィン・アレン
出演 ポール・ニューマン(ダグ・ロバーツ)
スティーブ・マックイーン(マイケル・オハラハン)
ウィリアム・ホールデン(ジェームズ・ダンカン)
フェイ・ダナウェイ(スーザン・フランクリン)
フレッド・アステア(ハーリー・クレイボーン)
ロバート・ヴォーン(ゲイリー・パーカー)
ロバート・ワグナー(ダン・ビグロー)
O・J・シンプソン(ハリー・ジャーニガン)
リチャード・チェンバレン(ロジャー・シモンズ)
ノーマン・バートン(ウィル・ギディングズ)
ドン・ゴードン(カピイ)
グレゴリー・シエラ(カルロス) /他
ポール・ニューマンとスティーブ・マックイーン他、豪華キャストによるパニック映画。ニューマンとマックイーンは、ワーナーブラザーズと20世紀フォックスとそれぞれ出演する映画会社が異なっていたため、共演は、不可能と思われていたが、2つの映画会社が同時にビル火災を題材にした映画を企画したことから、合作と言う形となり、夢の共演が実現したそうです。ちなみに、ワーナーブラザーズが企画を進めていた『ザ・タワー』は、1992年に映画化されています。監督/製作は、『ポセイドン・アドベンチャー』を製作したアーウィン・アレン。
サンフランシスコに建った地上138階の超高層ビルで起きた火災事故。2001年に起きたテロ事件で崩壊してしまったワールド・トレード・センタービルが完成して間もない頃に製作された映画だが、今見直すと、WTCで起きた状況とは、似て非なるものだが、なんだか未来を予期していたような内容で、今見ると末恐ろしいものを感じる。オーナーの息子が配線工事費をちょろまかして、必要な部品を使わなかったのが原因で、配線がショートし、巨大なビルが大火災を引き起こす。エレベータは、使えず、階段も災で寸断され、高層階に取り残された人々は、身動きが取れない。かけつけた消防員たちが決死の救出に挑むが、超高層ビルでの火災ともあって、うまく進まず、火のまわりは加速するばかり。エレベーターの中で火達磨になった人が、135階のパーティ会場へ飛び出してくる姿がなんとも恐ろしく、まさに地獄絵図のよう。ビルの屋上にやってきたヘリが、ビルから吹いた炎に飲まれ、バランスを崩して、大爆発を起こしながら地上に落下するすシーンは、同じ高層ビルでのパニックを描いた『ダイハード』の場面を思い出した。時系列的には、ダイハードのほうがこの映画のシーンをオマージュとして取り入れたように見える。傾いた展望エレベーターにフックをかけ、ヘリで地上まで降ろそうとするシーンは、消防隊長を演じるマックイーン自身がヘリからエレベータに飛び移るアクションを見せていて、緊迫感がみなぎっている。屋上に設置されている無数の貯水槽タンクを爆薬で爆破させて、ビル全体の火を消そうとするクライマックスシーンは、撮影用に用意された約4000キロリットルの水を実際に流し込んだそうだが、水流の勢いが物凄く、とても迫力があった。
最近は、国内でも、あちこちに高層ビルが建ち並ぶようになったが、実際このような火災が発生したら、どのように対応するのか…ある意味、この映画は、その安全に対する警笛を促しているとも受け取れる。さらに、最近起こった耐震偽装事件の件も脳裏に浮かび、決して絵空事ではない。そう言えば、初見時は、気づかなかったが、物語の中盤、炎にまみれた部屋を突っ切ろうとして、火達磨になってしまったダンカン企業の広報部長ダン・ビグロー役が、テレビドラマ『探偵ハート&ハート』に主演したロバート・ワグナーだった事を改めて知った。また、キャスティングでもう1つ気になったのは、『ブリット』で共演したスティーブ・マックイーンとドン・ゴードンが再びこの映画で共演し、良いコンビネーションを見せているところもニヤッとさせられた。
サンフランシスコに建てられた138階建ての超高層ビル「グラス・タワー」。その落成日当日、135階のプロムナード・ルームでは、上院議員や市長を招いて、盛大なパーティが行われていた。その頃、地下室の発電機が故障し、主任技師のキャラハンが予備の発電機をスタートさせるが、配線がショートし、81階の物置室から火災が発生した。設計者のダグは、直ちに出火原因を調査をするが、その結果、ビルの配線工事に問題がある事に気づき、オーナーのジムにパーティを中止するよう連絡する。火は、瞬く間に燃え広がり、グラスタワーは、火炎地獄と化していく・・・。