48時間
48HRS.(1982年/アメリカ)087
監督 ウォルター・ヒル 出演 ニック・ノルティ(ジャック・ケイツ) |
70年代のアクション映画の匂いが残した華麗で派手な銃撃戦とダイナミックな演出に加え、ジェームズ・ホーナー作曲の心地のいいBGM。そして、バディ映画特有の絶妙なセリフの掛け合いがなんと言っても面白い。この時代辺りから、白人と黒人の俳優コンビがお互いの個性をぶつかり合わせるアクションやコメディ映画がたくさん作られ、その後も『リサール・ウェポン』など、たくさん登場し、まさにこの映画は、その先駆けとなった記念すべき作品でもあった。テレビ映画の方でも『特捜刑事マイアミ・バイス』が登場している。主人公のサンフランシスコの暴れ者刑事ジャック・ケイツを演じているニック・ノルティのタフガイさが一際漲っている。豪快さと渋い演技、銃の構え方も一際ワイルドで迫力がある。服役中のお調子者の囚人レジー・ハモンドを演じているエディ・マーフィは、さすがは、コメディ番組出身だけに、すでに俳優としての貫禄もあり、あの独特のユーモアとマシンガントークをこの映画で思い存分発揮させた。今考えると、それは、70年代の大人びたアクション映画の空気を吹き飛ばす『劇薬』になっていたのかもしれない。二人のセリフのやりとりは、今聞いてもイカしていて、これぞ、正しく役者のぷつかりあいなくして語れない画期的なアクション映画だったのではないかと思う。
今では、当たり前になった黒人俳優が主人公のアクション映画も、この頃は、まだ珍しく、70年代には、黒人が主役を張る事は、まず考えられなかった。ところが、これがデビュー作だったエディ・マーフィは、この後、『ビバリーヒルズ・コップ』で見事にブレイク。その後も次々とヒット作を飛ばし、黒人のイメージをメジャーなものに変えた。この作品の8年後に公開された続編の『48時間PART2』のオープニングでは、ニックよりも先にエディの名前が紹介された事も象徴的な出来事だったのです。
脚本家陣には、『007/トゥモロー・ネバー・ダイズ』のロジャー・スポティスウッド。『ナイトライダー』の脚本もいくつか手掛けているスティーブン・E・デ・スーザ。冒頭の刑務所を脱出の場面は、『ナイトライダー』第7回の冒頭のシーンを彷彿してしまいましたね・・・。
野外で労働中の二人の囚人が脱走を図る。囚人の一人のガンツが昔のギャング仲間から、50万ドルを取り戻すため、サンフランシスコ市内に潜伏している事を知ったサンフランシスコ市警の刑事ジャック・ケイツは、同僚の刑事と共にガンツ達のアジトに向かうが、ガンツに同僚を殺され、拳銃を奪われてしまう。ジャックは、ガンツの情報を握る囚人のレジー・ハモンドを48時間だけ釈放し、捜査に協力させようとするが・・・。