処刑ライダー
THE WRAITH(1986年アメリカ)
監督 ジョン・ケメニー 出演 チャーリー・シーン(ジェイミー) |
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黒いスーツとヘルメットを身につけた謎の男が、不思議なマシーンを操り、暴走族グループへの殺戮を展開するホラーテイストの異色カーアクション。この映画に登場する黒いターボは、ジョン・カーペンター監督の「クリスティーン」と、比較することができる。激しく傷ついても何度でも再生されるボディを持つクリスティーンに対し、この黒いターボは、未知なるスーパーカーで、その性能も謎に包まれている。流れるような美しい丸みを持つボディスタイルに、強靭なエンジンを持っている。エンジンについては、映画の中では、リアのエンジンルームが開かれる場面がありますが、あまりの高出力で、不気味な光が放たれているところを見ると、燃料は原子力?(憶測です)・・・。対決する暴走族グループの車の前にバリケードとばかりに横たわり、車を粉砕した後、白い煙に包まれたターボが、光線を出しながら、何事もなかったように姿を現す。現代科学の水位を結集しても、この車を作ることは不可能であり、その特殊性を解明するのも困難を極めます。
山道やアリゾナの砂漠の一本道で繰り広げられる迫力あるカーレースシーンは、見応えありです。ただ、物語については、殺された主人公が、なぜこの世に蘇えることができたのかなど、不思議な部分は多く見られ、謎を残します。
チャーリー・シーン、ニック・カサベテス、どちらも名優の二世スター。この頃売れっ子だったチャーリーは、『プラトーン』『ウォール街』『ノーマンズ・ランド』など数多くの作品に出演していました。さらにこの当時、ニック・カサベテスは同じく車を題材に扱った映画『ブラックライダー』にも出演しています。この映画に登場するマシーンは、近未来的なデザインで魅力的ですが、映画の中では内装は、一度も映ることはありません。実際この目で確かめてみたいものです。『ナイトライダー』や『ブラックライダー』よりさらに先進のメカニズムを持つマシーンという、SFタッチの作品で、もしかしたら『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンのように、何世紀後かの未来の世界からやって来た車なのではと推測します。この頃は、最先端の車が活躍する映画が目白押し。その他にも今では見かけなくなったアメリカの名車がたくさん登場し映画を盛り上げています。
アリゾナ砂漠の田舎町で青年ジェイミーが、レースで車を奪い取ろうとする暴走族グループに殺された。グループのボス・パッカードは、自分が愛する女性、ケリーとつきまとうジェイミーが、気に入らなかった。その事件後、彼らが集まるハンバーガーショップの前に不思議なカスタム・ターボが現れる。車をコレクションする彼らは、姿を見せないその車とレースを挑む。しかし勝負をしたメンバーの一人オギーの車は、道を塞いでいたカスタムターボに激突し、崖から落ち、炎上する。保安官のルーミスは、事故の調査を始める。不思議なことに事故で焼け死んだはずのメンバーの死体がきれいに残っていた。彼らはレースで奪った車の置いてある倉庫にもどる。そこへ、カスタムターボのドライバーが姿を現し、彼らの車を破壊し始めた・・・。