監督　ピーター・ハント

出演　ジョージ・レイゼンビー（ボンド）
　　　テリー・サバラス（ブロフェルド）
　　　ダイアナ・リグ（トレイシー）
　　　ガブリエル・フェルゼッティ（ドラコ）
　　　バーナード・リー（Ｍ）／他

シリーズ第６弾。ショーン・コネリーの後を引き継いで２代目ボンドに襲名したジョージ・レイゼンビーの唯一の００７作品。ボンド＝ジョージ・レイゼンビーというイメージがなかなか頭にこびりつかなかったのですが、今回もう一度見直してみて思ったことは、レイゼンビーは、己の鍛えた肉体を惜しむことなく酷使し、一際ハードなボンド役を演じきっていること。しかし、３代目ボンドのロジャー・ムーア程のユニークさは感じられないし、初代ボンドのショーン・コネリーほど色気を持つキャラクターでもない。その中性的なキャラクターを拭え切ることなく、また、初代ボンドの受け売りを見た気にもなってしまった。

ブロフェルド役には、テレビシリーズ『刑事コジャック』のテリー・サバラスで、ボンドの相手には、不足なしと言った感じで、その闘いの場所は、ほとんどが雪の降り積もる山上。ボンド映画のスキー・チェイスの発祥はこの作品からで、この後、｢私を愛したスパイ｣などに引き継がれるわけですが、シリーズ中、最も壮絶で過激なスタントが展開されています。なかでもボブスレーの闘いのシーンは危険極まりない壮絶なもので、あのシーンを撮影したカメラマンとそのスタントマン達の勇気に敬服します。そんなかいもあって、この作品のアクションシーンの数々は、どれも魅力的で迫力あるものばかりです。

レイゼンビー＝ボンドの個性的な魅力は、感じられなかったけど、ボンドが結婚をする展開は、中々魅力的で、ラストシーンで少なからず、レイゼンビー＝ボンドの最も人間的な魅力を感じる事ができたのが良かったです。このラストは､『ナイトライダー』最終回エピソードを彷彿させてくれます。

ストーリー

消えたスペクターの首領ブロフェルドを追っていたボンドは、伯爵トレイシーからスイスの弁護士、グンボルトの情報を聞く。その一方で、ボンドは、トレイシーの娘、テレサとの恋を実らせていた。ボンドは、さっそくグンボルトの事務所に潜入し、デ・ブルーシャン伯爵宛の手紙を入手する。デ・ブルーシャンは、ブロフェルドのフランス名だった。ボンドは、ブルーシャンが爵位の継承の認可を依頼している紋章院の系図学者、ヒラリー・グレイ卿に扮し、標高１万メートルのアルプス山頂にそびえ立つアレルギー研究所に向かう。それこそ正しくブロフェルドの要塞であった。ボンドは、そこで「オメガ・ビールス」計画を知ることになるが…。

●００７は二度死ぬ